日本製鉄は水素還元技術を用いた試験炉において、高炉からのCO2排出量を33%削減することに成功した。同社は2023年8月に同技術による22%削減を確認しており、今回はそれに続く成果だ。
日本製鉄は2024年2月6日、水素還元技術を用いた試験炉において、高炉からのCO2排出量を33%削減することに成功したと発表した。同社は2023年8月に同技術による22%削減を確認しており、今回はそれに続く成果だ。
水素還元技術は、鉄鉱石から銑鉄を作る高炉プロセスにおいて、炭素による鉄鉱石の還元の一部を、水素による還元に置き換えることでCO2の排出を抑制する。
「環境調和型プロセス技術の開発/水素還元等プロセス技術の開発(COURSE50)」は、同社とJFEスチール、神戸製鋼所、金属系材料研究開発センターの4社によるコンソーシアムが開発を進める、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金に採択されたプロジェクトだ。
千葉県君津市にある東日本製鉄所君津地区に内容積12m3の試験炉を設け、2008年度から開発を進めており、COURSE50の目標である高炉からのCO2排出量10%削減を達成している。2022年5月からは50%以上のCO2排出削減を目指す「Super COURSE50」に取り組んでいた。
COURSE50が製鉄所内で発生する水素を使用するのに対し、Super COURSE50は外部から調達した多量の水素を加熱して高炉に吹き込む。水素による還元は吸熱反応のため炉内の温度を下げてしまうが、水素を加熱することにより高炉内の熱バランスを保ち、水素還元の最大化を図る。
今後は大型高炉への適用も視野に、2040年頃の実用化技術の確立を目指す。
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