次に政府の金融勘定です。
マイナス側の債務証券(黄)がやたらと存在感がありますね。
はい、負債側の債務証券は一般に国債と呼ばれるものですね。日本の政府は1998年以降、国債発行が大きくなりますが、上のグラフでもそれを確認できます。
国民1人あたり1000万円の借金といわれているものですね。
つまり、政府が公的サービスなどを行うための元手が足りず、国債によってそれを賄っているということでしょうか。
そうですね、特に1998年以降、極端に純借入が大きくなっています。これはとても大きなポイントです。
1998年は企業の純貸出がプラス化した時期です。企業の動きと政府の動きが、表裏一体で連動している点にもご注目ください。これは後々重要な観点となります。
分かりました! よく覚えておきます。
次に、各制度部門の資金過不足がどの程度の水準だったのか、主要国で人口1人あたりの数値に直して比較してみましょう。
3つ並べると、それぞれのタイミングで、どのように挙動していたのかが分かりやすいですね。
はい。まず家計を見ると、日本はバブル期から1990年代後半まで純貸出が突出して高い水準だったことが分かりますね。ちょうど1993年頃までは企業の純借入が突出した水準でした。
この時期、家計では金融資産が蓄積され、企業では負債が蓄積されていたことになります。
1998年以降は、家計の純貸出が他国並みに推移していますが、企業が大きくプラス側で推移するようになりますね。
他国の企業はおおむね±1000ドルの範囲を行ったり来たりしているだけですが、日本だけは、極端なマイナスから、極端なプラスへ変化しています。
はい、企業と家計の変化が連動している部分ですね。そして、政府のグラフを見ると、1998年から2000年代半ばにかけて、日本だけが大きくマイナスの期間が続いています。
現在積みあがっている政府の負債のかなりの部分は、この時期のものですね。それ以降は英国や米国、フランスと同じくらいの水準です。
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