シャープは、2023年度決算と中期経営方針について発表。構造改革として大型液晶ディスプレイの生産を2024年9月までに停止する他、カメラモジュール事業や半導体事業も将来的に売却する。
シャープは2024年5月14日、2024年3月期(2023年度)決算と中期経営方針について発表した。2023年度は1499億円の最終赤字となり、2期連続の巨額赤字になったことから2025年3月期(2024年度)は構造改革の1年と位置付け、堺ディスプレイプロダクトで行っていた大型液晶ディスプレイの生産を2024年9月までに停止する。また、カメラモジュール事業や半導体事業も将来的に売却する方針を示した。
シャープの2023年度の連結業績は売上高が前年度比8.9%減の2兆3219億円、営業損失が203億円(同54億円改善)、経常損失が70億円(同234億円改善)、最終損失が1499億円(同1109億円改善)という結果となった。2022年度も2608億円という大きな最終損失を出しており、2期連続で1000億円以上の巨額の赤字を出している。
セグメント別でみると、自社ブランドで展開しているブランド事業である「スマートライフ&エナジー」「スマートオフィス」「ユニバーサルネットワーク」の3事業については、市場環境変化の影響は受けたものの黒字を維持し、営業利益を全体では押し上げた。一方で「ディスプレイ」と「エレクトロニックデバイス」によるデバイス事業については、特にディスプレイデバイスの大幅な業績悪化によって赤字額が大きく増えている。
シャープ 代表取締役 社長執行役員 CEOの呉柏勲氏は「営業利益と経常利益は、ブランド事業収益改善が進んでおり改善傾向だったが、ディスプレイデバイスの不振により赤字となった」と述べている。
こうした結果を受けて、中期経営計画において2024年度は構造改革の年と位置付ける。「シャープは現在、負のサイクルに陥っている。デバイス事業においては、競争力の源泉である技術や工場への投資が不足し、これにより新カテゴリーや顧客など成長分野の開拓が進まず、業績が低迷するという悪循環に陥っている。ブランド事業については、投資が制限される中、特徴技術を生かした事業展開により堅実な業績だが、事業拡大投資やブランド投資、新分野への投資など、将来の成長に対する打ち手が不十分となっていた」と呉氏は課題について述べる。
そのため、2024年度はアセットライト化をテーマに、ブランド事業に集中した事業構造を確立し、負のサイクルから脱却を目指す。これらを実現した上で2025〜2027年度にかけて新たな成長モデルを確立し、再成長に取り組む。同時に本社機能の強化を進めていく。
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