フローで考える流れのモデリング(その2) 〜適用例と3D/1Dの関係〜1Dモデリングの勘所(30)(3/5 ページ)

» 2024年04月17日 09時00分 公開

ポンプ配管系への適用:解析例

 以上から、解くべき式は2台ポンプ運転時の場合、下記となる。

式13 式13
式14 式14
式15 式15
式16 式16
式17 式17
式18 式18
式19 式19
式20 式20
式21 式21
式21a

 上記の式および種々のパラメータを「Modelica」でテキスト表現すると以下となる(リスト1)。下記では、n1=n2=1500rpm、R1e=R2e=7×104kg/m7としている。この条件で流量、揚程はほぼ定格値となる。

model nuclearPump
 import Modelica.Constants.g_n;
 Real q;
 Real q1;
 Real q2;
 Real p1;
 Real p2;
 Real R1;
 Real R2;
 Real H1;
 Real H2;
 Real gam;
 Real N1;
 Real N2;
 Real Q1;
 Real Q2;
parameter Real n1=1500;
 parameter Real n2=1500;
 parameter Real R=510;
 parameter Real R1f=520;
 parameter Real R2f=520;
 parameter Real R1e=7e4;
 parameter Real R2e=7e4;
 parameter Real L=2.55e4;
 parameter Real L1=1.82e4;
 parameter Real L2=1.82e4;
 parameter Real ro=1000;
 parameter Real Hrated=30;
 parameter Real nrated=1500;
 parameter Real qrated=2;
 parameter Real A=1.32;
 parameter Real B=-0.88;
 parameter Real C=1.45;
 parameter Real D=-0.89;
equation
 q=q1+q2;
 p1=R1*q1*abs(q1)+L1*der(q1)+R*q*abs(q)+L*der(q);
 p2=R2*q2*abs(q2)+L2*der(q2)+R*q*abs(q)+L*der(q);
 R1=R1f+R1e;
 R2=R2f+R2e;
 p1=gam*H1;
 p2=gam*H2;
 gam=ro*g_n;
 H1=(A*N1^2+B*N1*Q1+C*Q1^2+D*Q1^3/N1)*Hrated;
 N1=n1/nrated;
 Q1=q1/qrated;
 H2=(A*N2^2+B*N2*Q2+C*Q2^2+D*Q2^3/N2)*Hrated;
 N2=n2/nrated;
 Q2=q2/qrated;
end nuclearPump;
リスト1 Modelicaでテキスト表現した場合

 図4に、2台ポンプバランス運転時の解析例を示す。起動時には流体の慣性により、ポンプ揚程(圧力)は高くなるが、流れ始めると揚程も一定となることが分かる。2台とも同じ特性、同じ回転数なので、両者とも同じ挙動を示す。

2台ポンプバランス運転時の解析例 図4 2台ポンプバランス運転時の解析例[クリックで拡大]

 図5に、ポンプ1が1500rpm、ポンプ2が500rpmの2台ポンプアンバランス運転時の解析例を示す。ポンプ1の挙動はあまり変わらないが、低回転数側のポンプ2は最初、ポンプ1からの流れにより逆流が発生していることが分かる。このため、揚程も最初上昇している。

2台ポンプアンバランス運転時の解析例 図5 2台ポンプアンバランス運転時の解析例[クリックで拡大]

 図6に、ポンプ2が停止したときの解析例を示す。停止ポンプにはポンプ1から常に逆流が発生していることが分かる。なお、図4〜6で条件が変わっても、ポンプ1の特性が見た目あまり変化していないのは、流量調整弁を各ポンプのすぐ下流に設置したことで、他ポンプの条件変化の影響を受けにくくなっているためだ。主配管にまとめて流量調整弁を設置すると、各条件でのポンプ1の特性は大きく変化する。

1台ポンプ停止時の解析例 図6 1台ポンプ停止時の解析例[クリックで拡大]

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