レーザーを用いて洗浄とマーキングが行える小型装置を開発、表面加工にも対応材料技術

新東工業は「BATTERY JAPAN 二次電池展(第16回【国際】二次電池展)」で汎用タイプのクリーニング/マーキング装置「小型汎用レーザークリーナーマーカー」のデモ機を参考出展した。

» 2024年03月22日 08時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 新東工業は「第23回 SMART ENERGY WEEK【春】」(東京ビッグサイト、2024年2月28日〜3月1日)内の「BATTERY JAPAN 二次電池展(第16回【国際】二次電池展)」で、汎用タイプのクリーニング/マーキング装置「小型汎用レーザークリーナーマーカー」のデモ機を参考出展した。

同型機種と比べ約5分の1の時間で加工可能

 小型汎用レーザークリーナーマーカーはクリーニングとマーキングを行えるレーザー照射装置を搭載している。レーザークリーニングではレーザー光を対象物に照射し付着物の蒸発と衝撃圧力を利用して素材から付着物を剥離する。

「小型汎用レーザークリーナーマーカー」 「小型汎用レーザークリーナーマーカー」[クリックで拡大]

 特徴は、ムラのないレーザーでほとんど母材を傷つけることなく洗浄が行える他、消耗品の交換がほとんど必要なくランニングコストが少ない点だ。さらに、マスキング工程などの前工程を行わずに特定の部分だけを洗浄でき、洗浄時に薬剤を必要とせず廃棄物の発生も少ない。

 一方、レーザーマーカーはレーザー光を使用して、2次元コードやシリアル番号などを刻印でき、トレーサビリティーの管理に使える。加工時にはインクジェットやスタンプ方式と異なり、薬剤や消耗品が不要で環境に優しい。

アルミの板材に表面処理加工を行う「小型汎用レーザークリーナーマーカー」 アルミの板材に表面処理加工を行う「小型汎用レーザークリーナーマーカー」[クリックで拡大]

 少ない加工時間で微細で深いマーキングが行え、同型機種と比べ約5分の1の時間で加工できるため生産性を高められる。このマーキングは、熱処理やショットブラストなどの工程が行われても消えず読み取れる。加えて、同型機種と比較して最大消費電力が47%少なく消費エネルギーの削減に貢献する。

 同社の説明員は「小型汎用レーザークリーナーマーカーでは、金属に対して鏡面加工やシボ加工(シワ模様を付ける加工)などの表面処理が行え、対象物のテクスチャーを変えるのにも役立つ」と話す。

「小型汎用レーザークリーナーマーカー」で表面処理加工したアルミの板材。板材の左下側と右上側でテクスチャーの状態が異なっている 「小型汎用レーザークリーナーマーカー」で表面処理加工したアルミの板材。板材の左下側と右上側でテクスチャーの状態が異なっている[クリックで拡大]

 また、鉄、アルミ、マグネシウム、鉛、亜鉛といった金属やプラスチック、ゴム、段ボール、木、紙などのさまざま素材の加工に対応する。曲面や斜面、凹凸面など多様な形状に対しても加工が行える。防塵/防水性に関して、レーザーヘッドでIP67、電子キャビネットでIP54の認定を取得している。

 同社は小型汎用レーザークリーナーマーカーのレンタルや同装置を用いた受託加工サービスの展開を検討している。同社の説明員は「小型汎用レーザークリーナーマーカーは対象製品の加工のテストなどラボベースでの利用に適している。また、薬剤を用いた洗浄と比べて、イニシャルコストは高いが、薬剤などの消耗品が不要なため、長く使用すればトータルコストは同じくらいだ。薬剤はこぼれたり、空き容器の処理が面倒だったりするが、これらも解消できる」と語った。

⇒その他の「材料技術」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.