NEDOがフレキシブル基板に2次元材料を転写できる機能性テープを開発研究開発の最前線

新エネルギー・産業技術総合開発機構は、2次元の原子シートを転写する機能性テープを開発した。フレキシブル基板をはじめ、プラスチックやポリマーのようなさまざまな素材や形状のモノに対応する。

» 2024年03月07日 11時00分 公開
[MONOist]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2024年2月13日、2次元の原子シート(2次元材料)を転写する機能性テープ(UVテープ)を開発したと発表した。NEDO先導研究プログラムとして、九州大学および日東電工と共同で開発に取り組んでいた。

転写に成功した最大サイズは直径10cmのグラフェン

 同技術には、紫外線(UV光)で粘着力が約10分の1に低下するUVテープを用いる。粘着力が強い状態のUVテープを、グラフェンなどの2次元材料を形成した基材に接着し、UV光を照射。電気化学剥離で基材を分離すると、UVテープに2次元材料が貼付した状態となる。このテープはUV光により粘着力が弱められているため、任意の場所に貼り付けてはがすと、テープのみが剥落し2次元材料が転写できる。

(左)2次元材料のテープ転写イメージ、(右)単層グラフェンの転写イメージ(中央丸部分がグラフェン)[クリックで拡大] 出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構
UVテープによるグラフェンの転写法[クリックで拡大] 出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構

 転写に成功した最大サイズは直径10cmのグラフェンで、転写率は最高で99%に達した。転写による2次元材料のダメージや汚れは少なく、特性への影響はない。半導体や絶縁性の2次元材料にも適用でき、複数の2次元材料を重ねた積層構造を作ることも可能だ。

 従来の高分子保護膜による転写が不可能だったフレキシブル基板をはじめ、プラスチックやポリマーのようなさまざまな素材と形状のモノに対応する。研究では、プラスチックに転写したグラフェンを用いてテラヘルツ(THz)波のセンサーを作成し、正常に動作することを確かめた。

UVテープを転写したグラフェンを用いたTHz波のセンサー。(a)プラスチック上の単層グラフェンのセンサー、(b)封筒に入れる前のナイフと紙片、(c)グラフェンを用いて検出した封筒の中のナイフと紙片[クリックで拡大] 出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構

 2次元材料の転写に要するコストと時間を削減し、簡便で適応性に富むことから、2次元材料の研究活性化が期待される。次世代半導体への応用を視野に、より大きなウエハーレベルでの転写技術の確立を目指す。

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