制御機器事業の立て直し急ぐオムロン、構造改革で国内外2000人の人員削減も製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

オムロンは国内外で計2000人の人員削減などを含む「構造改革プログラム『NEXT2025』」を発表した。

» 2024年02月27日 07時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 オムロンは2024年2月26日、国内外で計2000人の人員削減などを含む「構造改革プログラム『NEXT2025』」を発表し、オンラインで説明会を開催した。

2022年度に最高業績達成も事業環境が急激に悪化

 オムロンは2011〜2020年度の長期ビジョン「Value Generation 2020」の期間において、制御機器事業とヘルスケア事業および中華圏が成長をけん引した。特に、制御機器事業では半導体や二次電池の大手ユーザーの需要を着実に捉えた他、ヘルスケア事業ではグローバルで血圧計の販売台数が拡大。2022年度には売上高8761億円、営業利益1007億円に達するなど過去最高業績を達成した。

 ただし、2023年度に入って中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱などによって事業環境が急激に悪化し、業績が大きく低下したことから、「構造改革プログラム『NEXT2025』」を策定した。これに伴い、2022〜2024年度の中期経営計画「SF 1st Stage」の目標を取り下げ、2024年4月1日〜2025年9月30日を業績の立て直しと収益、成長基盤の再構築に集中する「構造改革期間」として制御機器事業の早急な立て直しを含む収益、成長基盤の再構築に取り組む。2025年10月1日〜2026年3月31日を次の中期経営計画の準備期間とし、2026〜2030年度を新たな中期経営計画「SF 2nd Stage」とする。

 オムロン 執行役員社長 CEOの辻永順太氏は「最高業績を達成した2022年度から一転、2023年度は業績が大きく低下する見通しだ。主な要因は制御機器事業、電子部品事業の業績が大幅に悪化したことにある。特に制御機器事業の影響は大きく、この立て直しは早期に実行しなければならない。しかしながら、今回の構造改革を制御機器事業に限定せず、全社で実施すると決心した。その理由は、全社で成長や収益拡大を阻害する共通の要因を抱えているからだ」と語る。

「構造改革プログラム『NEXT 2025』」を含む今後の計画[クリックで拡大]出所:オムロン
制御機器事業(IAB)、ヘルスケア事業(HCB)、社会システム事業(SSB)、電子部品事業(MMB)の2023年度業績見通し[クリックで拡大]出所:オムロン

 成長、収益拡大を阻害する共通の要因としては、偏重する成長のポートフォリオ、硬直的な固定費構造、人材/組織の能力転換の遅れの3つを挙げた。そこで、「構造改革プログラム『NEXT2025』」では収益を伴った持続的な売り上げの成長や企業価値向上に向けて具体的に5つの施策を行う。

 1つ目が「制御機器事業リバイバルプラン」だ。オムロンの売り上げの半分以上を占める制御機器事業だが、収益性の高い中国、特に二次電池、半導体産業でのソリューション売り上げの減少で利益率が低下した。また、生産量の減少が製造固定費比率の上昇を招いた。そこで固定費構造の適正化や過剰在庫の解消、成長による収益強化を図り、高収益事業への回帰を目指す。今後の再成長に向けて中国依存を低減する業界、地域のポートフォリオを構築する。さらにキーコンポーネントの競争力強化による提供価値の拡大に取り組む。

2013〜2023年度の各事業の売り上げ成長の内訳[クリックで拡大]出所:オムロン
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