EVシフトの伸び悩み期間「プラトー現象」を乗り越えるには:和田憲一郎の電動化新時代!(50)(3/3 ページ)
充電インフラに関しては、政府は2030年に急速充電器3万基、普通充電器12万基、合計15万基の設置目標を掲げ、補助金を出してきた。しかし、今後EV/PHEVの普及が拡大すると、少なくとも公共の場所については、どの場所にどのような急速充電器をいつまでに設置するのか、日本全体を網羅した総合的な充電インフラ計画が必要ではないだろうか。さらには、高速道路の大雪対策として、緊急避難場所や充電スタンドの追加場所を設ける必要があるだろう。ガソリン車が大多数の時代に設定された各種設置基準に対して、EV時代に対応した見直しが必要ではないだろうか。
EVの場合、暖房を入れるとバッテリーからのエネルギーを使用するため走行距離が短くなる。しかし、どれくらい短くなるのかは不透明のため不安を抱くユーザーは多い。そうであれば、市販されている国産車だけでなく輸入車も含めて、一定の条件で寒冷地試験を実施し、その結果を公表してはどうだろうか。これまで中国でも実施されているが、これはユーザーに事前情報を与えるとともに、自動車メーカーにとっても技術革新を促す。
EV/PHEVに関しては、漠然とした不安を感じている方も多い。充電サービスに対しても、トラブル時への懸念を感じている方もいるだろう。これらの解消のためには、問い合わせ窓口の設置など、コンシェルジュ的な相談窓口の設置などが望ましいのではないだろうか。
図3:プラトー現象からの浮上に向けて、安全/安心のためには[クリックで拡大] 出所:日本電動化研究所
今回、EVシフトのプラトー現象について述べてきたが、筆者は約2年で終わると推定している。その後は、多くの環境規制が実施されることから、よほどの環境変化がない限り、成長期から成熟期へと伸展していくだろう。そう考えると、現在の拮抗している状況で様子見をすることは、タイミングを逸することにつながる。出遅れている日本の自動車産業関係者にとって、プラトー現象は絶好の挽回のチャンスとなるのではないだろうか。
→連載「和田憲一郎の電動化新時代!」バックナンバー
和田憲一郎(わだ けんいちろう)
三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。
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2023年にEVとPHEVを合わせた販売比率が18%になると予測されている。マーケティング理論上はアーリーアダプターからアーリーマジョリティーの領域に入る。また、多くの環境規制では2035年が1つの目標となっている。では、このように急拡大するEVシフトに対し、日本の自動車部品産業はいま何を考えておくべきか。
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ほぼ1週間に2〜3度の割合でEVに関連するニュースが流れている。ここ1年で10年分に相当する情報量が発信されている印象だ。このように激流が押し寄せる中、エンジン車からEV(電気自動車)に向かうことで、自動車部品産業も危機に直面するのであろうか? 今後起こり得る潮流を見据え、どう考え、対応していくことが望ましいのか、筆者の考えを述べたい。
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風雲急を告げる、というのであろうか。毎日のようにEV(電気自動車)に関する規制やニュースが流れている。このように各国で一気に電動車への転換が叫ばれており、それに伴い、エンジン車やEVの担当から、EVの開発責任者になる人も多いのではないかと思われる。しかし、EV開発は従来とかなり異なった面を持っている。どのようなことを考えておけば良いのか、筆者の経験から5つの提言としてまとめてみた。先達の意見として参考に願いたい。
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