2022年の電気自動車やプラグインハイブリッド車の新車販売台数が全世界で約1050万台となり、新車販売に占める割合も約13%となったようだ。そのような中、e-Axleに注目が集まっている。
2022年の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の新車販売台数が全世界で約1050万台となり、新車販売に占める割合も約13%となったようだ。そのような中、e-Axleに注目が集まっている。
e-Axleとはモーター、インバーター、トランスミッションを一体化した部品だ。e-AxleはEVの基幹部品であり、小型化や軽量化、品質向上、低コスト化などがテーマとなっている。しかし、複数の部品を1つに集めただけではなく、EV特有の難しい点が含まれている。どのような点に留意して開発を進めるべきか、e-Axleビジネスはどう展開するか、筆者の考えを述べたい。
筆者が三菱自動車で「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の開発を行っていたころ、e-Axleの発想はなかった。というのは、日本ではモーター、インバーター、トランスミッションのそれぞれに多くの専業メーカーがあることから、当時「餅は餅屋」との考えが根底にあったためだ。
しかし、海外勢がEVを次第に商品化し始める2015年ごろから、各国のモーターショーでe-Axleの展示が増加したように記憶している。特に欧州の自動車部品メーカー(サプライヤー)が提案に力を入れていた。ドイツの大手自動車部品メーカーは日本の自動車部品メーカーと異なり、社内でシステムとして開発、製造できること、もしくは一部のみを外部調達することでシステムとして完結できることが、その背景にあったようだ。
しかし、このようなことが可能なのはドイツの大手自動車部品メーカーのみであり、それほど大きな潮流にはならないのではと当時の筆者は思っていた。
2016年ごろから、中国で急激にEV市場が拡大するにつれ、中国の自動車関係者からe-Axleの需要が強まった。当時、中国に出張した際に自動車の開発責任者から話を聞くと、必ずe-Axleを開発するにはどうすれば良いかと聞かれたものである。
これは、中国自動車メーカーのEV開発期間が2〜3年程度と日系自動車メーカーなどに比べて極めて短いことに起因する。つまり、一から開発するのではなく、既に完成しているe-Axleの一部を修正して車両に搭載しようとする開発責任者が増えてきたためである。e-Axleは「購入部品」となった。
こうなると、これまでモーターやインバーター、トランスミッションをそれぞれ作っていた自動車部品メーカーは、一気にe-Axle化に舵を切った。その結果、2022年の中国では、BYD、蔚来駆動科技、匯川技術、精進電動、上海電駆動、蜂巣電駆動、巨一動力など、自動車メーカーのグループのサプライヤーや独立系の自動車部品メーカーが入り乱れてe-Axleを製造するに至った。中国でe-Axle分野に参入している日本電産もその1つだろう。
一方、欧州では、ドイツの大手自動車部品メーカーのコンチネンタル(Continental)やボッシュ(Robert Bosch)、シェフラー(Schaeffler)、ZFなども依然として積極的であり、国内外でビジネス拡大を続けている。
なお、欧州や中国に比べてe-Axle化が遅れていた日本でも、トヨタ系サプライヤーのBluE Nexus(ブルーイーネクサス)やアイシン、デンソーの3社が共同開発を行う。日立Astemo(アステモ)がホンダや日産自動車へe-Axleを供給する他、マツダはパートナー企業7社とともにe-Axleを開発するなど、広がりを見せ始めた。
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