リコーは現在、主力の複合機に加えてデジタルサービスの事業強化を図っているところだ。このデジタルサービスでは、ビジネスプロセスオートメーション(BPA)領域とコミュニケーションサービス(CS)領域の2つを成長領域と定めている。これら2領域を進化させていく上では、デジタル、データ、そしてAIの活用が重要になってくる。
新たなRICOH BIL TOKYOは、最新AI技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)実現のための価値共創拠点に位置付けられている。リコー デジタルサービスビジネスユニット プレジデントの入佐孝宏氏は「田町のRICOH BIL TOKYOに来ていただいた860社の課題のうち56%は当社のデジタルサービスで解決することができた。しかし、残りの44%は既存技術では解決できず、さらなる共創活動や新技術が必要だった。新たなRICOH BIL TOKYOはAI×共創によって生まれ変わり、残り44%の課題解決を可能にしていく」と述べる。
RICOH BIL TOKYOでは、1980年代からリコーが技術開発を積み重ねて強みとしている「画像/空間認識系」と「自然言語系」のAIを共創活動に利用して行くとともに、リコーグループに所属する300人超のAI開発人材との連携も積極的に進めていく方針である。「顧客がやらなければならないタスクを減らす/なくす、本来やりたい/やるべき仕事に集中できる環境や場を提供する、そういった場でクリエイティビティを発揮することをサポートし、“はたらく”に歓びをもたらしいきたい。この目標に向かって、RICOH BIL TOKYOは日々進化していく」(入佐氏)という。
画像・空間認識系AIの展示デモの一例。360度カメラ「RICOH THETA」を搭載した小型の電動フォークリフトにより、空間点群データと360度画像をひも付けた「RICOH BIL TOKYO」内のデジタルツイン空間を構築しており、電動フォークリフトや荷物を積んだパレットの位置が把握できるようになっている[クリックで拡大]
自然言語系AIのデモの例。リコーのデジタルヒューマン「アルフレッド」が、顧客との打ち合わせでリコージャパンが扱う約3000のラインアップから最適なソリューションを選び出すなどのサポートをしてくれる[クリックで拡大]2018年9月の設立からRICOH BIL TOKYOをプロデュースしてきた、同所 ゼネラルマネージャーの菊地英敏氏は「田町に来ていただいた860社への価値提供領域を見ると、画像認識/空間認識が41%、文字認識/音声認識が24%と大きな割合を占めている。新たなRICOH BIL TOKYOでは、これらの課題解決に役立つ最新のAI技術が共創活動に利用できるようになっている」と説明する。
また、1000m2と20倍もの広さになったことで、リコーの最新技術をより分かりやすい形で見られるデモエリアや、ワークショップルーム、ラピッドプロトタイピングのためのファブラボ、顧客が課題解決に向けて最大3カ月間入居可能なプロジェクトルームを用意するなど、ファシリテーションによって見いだした課題を解決するためのプロセスを実践できる施設や設備も充実している。「まず1年目は、顧客の経営層を迎えるEBC機能として360社に来場してもらえるように活動を進めていく。開所からの5年間で、新たな価値創造と社会実装の実現を累計で100件を目標としたい。併せて、現在のRICOH BIL TOKYOの活動コアメンバーは約20人だが、AI開発人材や50部門との連携を通して、ビジネスプロデューサーやビジネスデザイナーを100人輩出できるようにしたい」(菊地氏)としている。
「RICOH BIL TOKYO」のエントランス。中央にある流木アートはサステナビリティをイメージしており、真っ白な空間にすることで新しいものを創り出すためにゼロリセットする空間の位置付けになっている[クリックで拡大]
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