――デザインや構造のお話しを伺います。この商品、炊飯部分だけを外して、食卓にそのまま持って行けるようになっていますよね。これ、いわゆる「おひつ」の形なんですが、おひつなんて僕が子供の時代でもすでに使っていませんでした。若い開発者の皆さん方も当然知らないと思うんですが、これはどういうところから発想してきたんでしょうか。
大村拓匡氏(大村氏) 実は、昔のおひつから直接着想を得たわけではないんです。
旅館なんかで大きな炊飯器のコンセントを抜いて席まで持ってきて、ぱかっと開けて食べるみたいな習慣は、僕らの時代でも結構ありました。しかし、今の日本のキッチンは、大体が引き出す棚に炊飯器を置いていて、そこから食卓へと動かす方もほとんどいません。
ただ、「食べきり」という炊飯器のアイデアを体現する時に、食べきるのであれば持ち運べるようにした方がいいよねという話になりました。ただ、炊飯器を丸ごと食卓に運ぶのは全然リーズナブルじゃないから、必要なところだけを取り出せる方が合理的だよねと。
――ある意味、おひつを再発明したような。
大村氏 おひつ部分のデザインはこだわりました。食べきりサイズで、炊いてそのまま食卓に並べてもおかしくないデザイン。加えて、炊き上がりすぐに手で持っても熱くない外装になっています。
――一方で機構的には、お米と水の量を都度細かく計量しなければなりません。これは投入量をどこで見ているんですか?
大村氏 お米と水の計量は、「おひつ」の下に重量センサーを置いてまして、米をリアルタイムに測りながら、水も同じように計量します。
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