球面音波の音圧レベルは、球空間を要素分割する必要がありますが、要素数が膨大になるため球の一部を切り抜いて、切断面に対称境界条件を設定します。図3のようになります。解析モデルを図4に示します。
図5、図6にシミュレーション結果を示します。条件が整うとシミュレーション結果は厳密解と一致します。
20節点六面体要素を使用し、要素サイズは30[mm]です。要素サイズは波長の6分の1以下とすべきです。周波数と波長を表1に示します。表1の「波長/6」のサイズで要素分割する必要がありますが、20節点六面体要素だと波長の3分の1程度でよさそうです。
周波数 | 波長 | 波長/6 | 波長/3 | |
---|---|---|---|---|
Hz | mm | mm | mm | |
62.5 | 5472 | 912 | 1824 | |
125 | 2736 | 456 | 912 | |
250 | 1368 | 228 | 456 | |
500 | 684 | 114 | 228 | |
1000 | 342 | 57 | 114 | |
2000 | 171 | 29 | 57 | |
4000 | 86 | 14 | 29 | |
8000 | 43 | 7 | 14 | |
表1 音波の周波数と波長 |
四面体要素を使うと、波長の6分の1よりもはるかに小さな要素にする必要があるようです。
振動モーダル解析については、シミュレーションと実験の両方を紹介しましたが音響モーダル解析もシミュレーションと実験の両方があります。図7にシミュレーションによる音響モーダル解析例を示します。
図中の固有振動数を見ると分かりますが、人間が入れるサイズの空間だと固有振動数は無数にあります。モーダル解析を行って音の固有振動数(共鳴周波数)を求め、音源の振動周波数をうまく共鳴しないようにできないかと思われるかもしれませんが、共鳴周波数がたくさんあるためそのような企ては絶望的です。
実験モーダル解析の例については取り上げませんが、これを試すにはマイクを等間隔かつ3次元的な位置にセッティングする必要があったため、マイクスタンドを自分で設計して用意しました。
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