現場見学で見せる町工場の底力、静岡初オープンファクトリーへの思いオープンファクトリーのすゝめ(1)(3/3 ページ)

» 2023年11月07日 10時00分 公開
前のページへ 1|2|3       

静岡のモノづくりの底力をアピールする機会に

――「外部への発信」というキーワードが出てきましたが、会社のことを知ってもらうためには、やはり自ら発信していくことが重要だとお考えですか?

山崎さん そうですね。村田ボーリング技研さんなど、いち早く外部へ発信する活動を始めてその結果採用活動がうまくいっている企業さんを近くで見ていたので、その大切さはとても感じていました。「中小製造業は見た目が大事」とよく言われますが、一般の方々に対しても見せ方を工夫していくことができれば、自分たちで雇用を進めていくことにつながると思います。

印刷業が静岡で行われている歴史を説明する様子(ナガハシ印刷)[クリックして拡大] 出所:ファクハク実行委員会

伊豆川さん 肥料メーカーは「大変そう、においがキツそう」というイメージが強くて、一般の方にとっては良い印象のある業界とはいえません。そんな中でも当社のことを知っていただいた人からは「いい会社だね」と言ってもらえますが、そもそも露出の機会が少ないと当社のことを知るきっかけすらありません。とにかくいろいろな方法で知ってもらう必要があるなと感じます。

――知ってもらう活動や発信をそれぞれ自社でされてきたと思いますが、今回「ファクハク」というイベントとして、皆でまとまってイベントを開催しようと考えた理由や背景を教えてください。

阪口さん ファクハクはどの年代でも楽しむことができますが、中でも特に就活世代やその親御さん世代に来ていただきたいと考えています。イベントとしてまとまって開催することで、モノづくりの面白さや製造業で働くことを効果的に伝えられると思います。

特色インクとは何か、インクの作り方を社員が説明する様子(ナガハシ印刷)[クリックして拡大] 出所:ファクハク実行委員会
参加者が2000℃に熱せられた鉄をたたく体験の様子(東名鍛工のワークショップ)[クリックして拡大] 出所:ファクハク実行委員会

山崎さん ビジネス面でいうと、静岡のモノづくりの底力をアピールする機会だと考えています。例えば、当社は板金加工をなりわいとしていますが、日本全体で見ると「金属加工の産地」としてブランディングに成功している地域が幾つかあります。

 当社はそういった地域の会社と競合になるわけですが、知名度や認知度の面で圧倒的な差を感じることが多々あります。でも、今は目立っていないかもしれないですが、静岡のモノづくりも負けていません! その底力を知っていただきたいと思います。

長橋さん 私は異業種の方々と交流を持つきっかけになると感じています。オープンにつながっていくことで、みんなでパワーアップしていけたらと考えています。

ファクハク実行委員会の会議の様子[クリックして拡大] 出所:ファクハク実行委員会

――ファクハクに懸ける思いを教えてください!

伊豆川さん みんな「うちの会社は見るところがないよ」とおっしゃいますが、見学させてもらうと面白いんですよね。普段は扉の先で何が起こっているか分からない企業ほど面白いです。今回しか見られない会社も多いので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。

山崎さん 私たち自身が楽しむことを大事にしたいです。私はオープンファクトリーや工場見学は好きで、参加するとワクワクするんです。その気持ちを参加者の皆さんにも味わっていただきたいです。私たち自身が楽しんで、そのワクワクを広げていきます!

村田さん 特に学生の皆さんに、楽しく働く大人を見てほしいと思っています。ファクハクを通して私たちのことを知ってもらい、将来静岡で楽しく働く大人が増えたらうれしいです。テーマパークに行くとワクワクするように、ファクハクに来たらワクワクできる!と思ってもらえるように頑張りたいと思います。

長橋さん やはりワクワクしてもらうのが一番です。参加者も企業側もこの機会を楽しんでほしいと思います。そして将来的には、イベント当日だけではなく、1年を通して「静岡って楽しい!働きたい!」と思ってもらえるように考えていきたいです。


あとがき

 オープンファクトリー開催の目的はさまざまありますが、「この土地で楽しく働く大人たちを見てほしい!」という言葉がとても重く響きました。確かに楽しく働く大人の姿を見る機会はほとんどないように感じます。それが工場の中の仕事であればなおさらです。オープンファクトリーとして共同で開催することで、参加者にとってはイベント感覚で気軽に参加しながら、働くことやモノづくりへの関心を深める良いきっかけになると感じました。

 ファクハクに限らず、秋は全国各地でオープンファクトリーが開催されます! ものづくり新聞では独自マップやイベント紹介のコンテンツを公開中です。是非ご覧いただき、この秋のお出かけに活用してもらえれば幸いです。

・2023年産業観光・オープンファクトリーイベントマップ(ものづくり新聞調べ)
・「ここ行ってみて!」オープンファクトリーおすすめ情報
・オープンファクトリー運営者必見!運営側のニッチな裏話

本連載の目次はこちら
記事のご感想はこちらから


著者紹介

ものづくり新聞
Webサイト:https://www.makingthingsnews.com/
note:https://monojirei.publica-inc.com/

「あらゆる人がものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現」をビジョンに、ものづくりの現場とつながり、それぞれの人の想いを世界に発信することで共感し新たな価値を生み出すきっかけをつくりだすWebメディアです。

2023年現在、100本以上のインタビュー記事を発信し、町工場のオリジナル製品開発ストーリー、産業観光イベントレポート、ものづくり女子特集、ものづくりと日本の歴史コラムといった独自の切り口の記事を発表しています。

編集長

伊藤宗寿
製造業向けコンサルティング(DX改革、IT化、PLM/PDM導入支援、経営支援)のかたわら、日本と世界の製造業を盛り上げるためにものづくり新聞を立ち上げた。クラフトビール好き。

記者

中野涼奈
新卒で金型メーカーに入社し、金属部品の磨き工程と測定工程を担当。2020年からものづくり新聞記者として活動。

佐藤日向子
スウェーデンの大学で学士課程を修了。輸入貿易会社、ブランディングコンサルティング会社、日本菓子販売の米国ベンチャーなどを経て、2023年からものづくり新聞にジョイン。



前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.