工場などを一般開放し、モノづくりの魅力を発信するオープンファクトリー。今回は、静岡初のオープンファクトリーイベントとなる「ファクハク 静岡工場博覧会」の実行委員会の皆さんに、地方工場が抱える課題や思いを聞きました。
ものづくり新聞は全国の中小製造業で働く人に注目し、その魅力を発信する記事を制作しています。本連載では各地で開催される「オープンファクトリー」に注目し、イベントの魅力や参加企業の背景などを取り上げます。
今、全国各地で盛り上がりを見せるオープンファクトリーをご存じですか? 一般向けに工場を開放して、モノづくり現場を見学する、あるいは職人の技術を体験できるといったイベントです。
しかし、「工場の開放」だけがオープンファクトリーの魅力ではありません。地域や人、企業、観光が一体となり、モノづくり企業の面白さを感じる。それがオープンファクトリーというイベントです。その土地で実際にモノづくりをしている当事者たちが主体的となってイベント運営しているケースが多く、ひとことで「見学/体験」と言っても、見せ方やコンテンツは地域によって多種多様です。
オープンファクトリーは「町にあるけれど何を作っているか分からない工場」を「行ったことがある、知っている工場」に変えるチャンスにもなるのです。
オープンファクトリーの効果について、経済産業省の近畿経済産業局のWebサイトでは以下のように説明されています。
開催する地域社会(住民)にとっては、自らのまちの魅力や奥行きを再認識する契機となり、企業にとっては、地域社会と新しい接点を持つことで、 地域の企業としての意識(ローカル・カンパニー・プライド)の芽生えやイノベーティブな着想を得る機会につながっています。
イベント開催による恩恵は参加する一般来場者、企業、地域それぞれにもたらされると考えられそうです。
ものづくり新聞がオープンファクトリー参加企業に行った取材では、「どのような見学/体験を提供するのか社員が自ら考えることを通して、もっと自社の魅力を発信したいという気持ちを刺激できた」という話や、「自分たちにとっては当たり前の仕事でも、一般の方が興味を持って見たり聞いたりしてくれることに驚いた」という声を聞きました。参加する前は受け入れ準備などへの負担を懸念していたものの、それ以上の効果を感じて、毎年参加するようになった企業も多くいらっしゃいます。
地域外から来場者が訪れるケースも多く、観光面のプラス効果も期待できます。オープンファクトリーのメインは工場ですが、その地域の名産品を楽しむことができるイベントを同時開催したり、訪れた人が滞在できるように宿泊施設を開業したりと、観光客を呼び込む工夫も随所で見られます。
ものづくり新聞が調査しただけでも、2023年に開催予定/開催済みのオープンファクトリーの数は70を超えます。開催時期はその地域で行われている産業の繁忙期を避けた時期や、天候や気温も加味して決めている地域が多く、結果的に秋(10月〜11月)に開催するオープンファクトリーが多く見られます(2023年オープンファクトリー一覧)。
・2023年産業観光・オープンファクトリーイベントマップ(ものづくり新聞調べ)
・「ここ行ってみて!」オープンファクトリーおすすめ情報
・オープンファクトリー運営者必見!運営側のニッチな裏話
2020〜2022年までの3年間は、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、止むなくイベントの開催自体を取りやめるケースや、オンライン上でモノづくり現場の動画を公開するスタイルでの開催も多く見られました。2023年の開催は、コロナ禍前のような形で開催する地域がほとんどのようです。
オープンファクトリーに参加する企業はどんな課題を抱え、何を目標に取り組んでいるのでしょうか? ここからは2023年に初めての開催を迎える静岡県のオープンファクトリー「ファクハク」の中心メンバーの皆さんへのインタビューをお届けします。
2023年に開催されるオープンファクトリーの中で、ものづくり新聞が注目しているのが同年初開催となる「ファクハク 静岡工場博覧会」です。同イベントは2023年11月17日(金)〜19日(日)に静岡県で開催予定です。
工場見学メインのイベントとしては静岡県初で、さまざまなジャンルのモノづくり企業が工場を開放しています。訪れた一般来場者が製造現場を見学したり、ワークショップを体験したりと、モノづくりを経験できる3日間の実現を目指しています。
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