住友金属鉱山は「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」の主催者プログラム「Tokyo Future Tour」において、太陽光をコントロールする素材「SOLAMENT」を活用した、羽毛を使用しない透明なダウンジャケットのプロトタイプ「SOLAMENT DOWN-LESS DOWN JACKET」を展示していた。
住友金属鉱山は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:2023年10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)の主催者プログラム「Tokyo Future Tour」において、太陽光をコントロールする素材「SOLAMENT」を活用した、羽毛を使用しない透明なダウンジャケットのプロトタイプ「SOLAMENT DOWN-LESS DOWN JACKET」(以下、DOWN-LESS DOWN JACKET)を展示していた。
SOLAMENTとは、住友金属鉱山が2002年に発明し、国内外で特許を持つ近赤外線吸収材料「CWO」(セシウムドープ酸化タングステン)をベースとする素材技術のことで、太陽光などに含まれる近赤外線を吸収する機能を生かし、アパレル、建材、農業、医療など、さまざまな分野への展開が期待されている。
近赤外線吸収材料であるCWOに関しては、既に自動車の車内温度の上昇を抑えるための窓ガラス材料や、紫外線と近赤外線による肌への負担軽減が期待できる衣服への適用をはじめ、さまざまな製品での採用実績があるという。今後は、SOLAMENTという名称で素材の可能性を広く訴求し、さらなる適用範囲の拡大を図りたい考えだ。
今回展示したDOWN-LESS DOWN JACKETは、アクセンチュア傘下のクリエイティブエージェンシーであるDroga5 Tokyoとのコラボレーションによって実現したもので、アパレル分野でのSOLAMENTの活用イメージを具現化した。
一般的なダウンジャケットの場合、羽毛を使用しているが、DOWN-LESS DOWN JACKETはその名の通り羽毛を一切使用せず、太陽光に含まれる近赤外線を熱に変換するSOLAMENTの特性を生かし、生地自体が発熱して暖かさを生み出す。住友金属鉱山が行った実証実験の結果によると、羽毛のない空洞形状にもかかわらず、優れた可視光透過性と近赤外線吸収能力により、羽毛入りのダウンジャケットに匹敵する温度上昇が確認できたという。
「SOLAMENTは、太陽光に含まれる近赤外線を熱に変換するという特性を生かした活用に加えて、遮熱にも使える。例えば、ビニールハウスに適用すれば近赤外線を吸収してハウス内が高温になるのを防ぐと同時に、可視光はしっかりと届くため栽培物の光合成を助け、安定した生産につなげられる」(説明員)。他にも、透明性が高く着色にも適しており、機能性とデザイン性を両立したスポーツウェアの実現や、赤外線を利用した盗撮の防止などにも役立つとしている。
展示ブースでは、DOWN-LESS DOWN JACKETの試着をはじめ、近赤外線を熱に変換するSOLAMENTの特性を体感できるデモなどを実演していた。
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