Preferred Networks(PFN)は、「CEATEC 2023」において、大規模言語モデル「PLaMo」と汎用原子レベルシミュレーター「Matlantis」、深層学習用プロセッサ「MN-Core」などを組み合わせた「バーチャル材料研究所」のデモンストレーションを披露した。
Preferred Networks(PFN)は、「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日、幕張メッセ)において、日本語と英語を高精度に理解する大規模言語モデル「PLaMo」と汎用原子レベルシミュレーター「Matlantis」、深層学習用プロセッサ「MN-Core」など同社のソリューションの組み合わせによって実現した「バーチャル材料研究所」のデモンストレーションを披露した。
バーチャル材料研究所は、デジタル技術を活用した新材料探索の手法であるマテリアルズインフォマティクスについて、材料科学の知識はあるもののデジタル技術について詳しくない研究者や技術者がより利用しやすくするために試作したサービスだ。「マテリアルズインフォマティクスを活用するためには、計算物理やプログラミングの知識が必要になるが、これらの習得は材料科学の研究者や技術者にとって高い壁になっている。この壁を、国内の材料科学の研究者や技術者が慣れ親しんでいる日本語と英語を得意とする大規模言語モデルのPLaMoを活用して乗り越えることがバーチャル材料研究所のコンセプトになっている」(PFNの説明員)。
披露したデモは、e-Fuel(合成燃料)の触媒探索がテーマになっており、触媒探索の方向性について日本語でプロンプトを入力してPLaMoで実行すると、その方向性に合わせてPLaMoが計算のステップを作成するとともに、汎用原子レベルシミュレーターであるMatlantisで実行可能なPythonベースの約1000行のコードを自動生成する。プロンプト入力からコード生成まで1分もかからない。後は、自動生成されたコードを、MN-Core上で動作するMatlantisで実行すれば最適な触媒の構成が算出される。「Matlantisで実行するコードのプログラミングを材料科学の研究者や技術者が行うのは大変であり、専門家に任せても数時間かかることがある。その作業を、簡単な日本語のプロント入力から1分かからずできることを示せたのには大きな意義がある」(同説明員)。
「バーチャル材料研究所」のデモ画面。画面中央の赤線で囲んだ日本語のプロンプト入力から、画面の上側にあるPythonコードを自動生成。コード実行ボタンを押せば、画面下側で「Matlantis」の解析結果が表示される[クリックで拡大]バーチャル材料研究所については、今後触媒探索だけでなく、電池材料や半導体材料の探索など対応分野を広げるなどして実用化に向けた開発を進めていく方針である。
1000万倍高速の汎用原子レベルシミュレーターをPFNとENEOSが開発、SaaSで提供へ
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