日本の平均年齢は48歳です。間もなく50歳に到達します。一方、海外の平均年齢はもっと若く、米国も中国も38歳です。若い世代といえば、最近ではデジタルを駆使して便利な世界を作れるスキルを備えた「デジタルネイティブ世代」の人たちの活躍も目立っています。
ここでのキーワードは“便利な世界”です。筆者は、日本でこのデジタルネイティブの人たちが便利な世界、便利な仕事のやり方をしようとしたときに、“これを阻害しようとするものが日本の企業の中にある”ように思えてなりません。これを阻害するのではなく、これを進めることのできる環境こそが必要だと考えます。
これこそが“これからのモノづくり”であり、デジタルネイティブの人たちに発揮してもらうべきスキルだといえます。
一方、この20年間で設計者が行うべき仕事の本質に大きな変化はありません。
これらについて、設計者はアナログ的な知識として学ぶ必要があります。この知識がベースにあることで、デジタルの活用が成り立ちます。例えば、AI(人工知能)を活用するとした場合、その学習に用いられる一つ一つの情報は設計の知識によるものであり、さらに、AIによって得られた結果の妥当性を判断する際にも、設計者の知識が必要となります。
AIの活用により、これら知識の組み合わせは人間が考える情報量をはるかに超えることになります。2022年から始まった「第4次 AIブーム」といわれる現在、「ChatGPT」(3.0)は40兆を超える知識を導くことができるようになりました。これは人間が一生涯に得られる知識の1000倍に相当する規模だといいます。
AIは単純な判断にとどまらず、何らかのアウトプットを生成する力があります。設計者が必要とする原理原則の知識を基に、AIによって「自分の知識にないものが得られる」ようになることは、エンジニアリングの世界に大きな変革をもたらすでしょう。ただ、少なくとも今の段階では「その最終判断は人間が行う」ということにはなりますが……。
「これから機械の設計開発環境はAIによってどう変化しますか?」とChatGPTに質問してみました。その答えを以下に抜粋します。
この答えは情報の組み合わせだといえますが、要点を的確に捉えています。「自動化」「仮想検証の充実」「クラウド」は3D CAD環境にとって重要なテーマです。生成AIが盛り上がる一方、これに歯止めをかけようとする動きもありますが、日本の企業が競争力を維持するにはAIを活用すべきだと考えます。 (次回へ続く)
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