MONOist 最新のTamagotchi UniではWi-Fiでクラウドとつながりますが、IoT機器として実際にどのようなことが可能なのでしょうか。
坂本氏 まず重要なのが、本体ファームウェアのアップデートをほぼ全世界同時に行える点だろう。一般的なIoTデバイスの場合、ファームウェアをアップデートする際には、幾つかのデバイスグループに分けて行うことが多い。この方がサーバに負荷がかかりにくいなどのメリットがあるからだ。
しかしTamagotchi Uniにおける3つのUniの1つであるユニバーサルのことを考えると、ファームウェアのアップデートがまだ終わっていないがために、TAMAVERSEで行われるたまアリーナのイベントに参加できない、という事態が起こることは許されない。100万台規模のデバイスに対して全世界同時にファームウェアをアップデートできるようにする必要があった。
この他にも、バンダイからユーザーに直接メッセージやプレゼントを贈るメディア通信機能や、TAMAVERSE上のオンラインコミュニティーへの参加、ダウンロードコンテンツの配信などの機能がある。たまごっちみーつとたまごっちスマートでは、スマートフォンアプリを介してこれらの機能を一部実現していたが、Tamagotchi Uniはデバイス本体のWi-Fi機能を使って直接クラウドにつなげることで実現しており、スマートフォンアプリは不要だ。ただし、そこで重要になるのがセキュアな接続をどのように保証するかだった。
ここまで挙げた機能を含めて、Tamagotchi Uniのコンセプトを実現するためにクラウドインフラに独自に実装すべき機能は多岐にわたる。このような“普通じゃないインフラ”を実現できる取り回しの良さがあり、開発を進めるためのサンプルドキュメントなども充実していたのがAWSであり、AWSと密に連携できるRTOSの「Amazon Free RTOS」だった。
MONOist 今後、Tamagotchi Uni以降のたまごっちではクラウドと連携するのが当たり前になるのでしょうか。
岡本氏 いつも“遊び”の企画が原点にあって、そこからハードウェアやソフトウェアをどのようにするかを検討することになるので、次世代モデルでクラウドが必須になるとは限らない。キャラクターの育成のためにユーザーとリアルタイムに一緒に過ごすことになるたまごっちでどのような“遊び”を実現できるかが重要だ。たまごっちに対して、生き物らしさやペットらしさを感じてもらえるようにしたいと考えている。
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