東レは、マレーシアペナン州のITP Foodsとともに、東レの独自技術となる「VOC(揮発性有機化合物)フリー・CO2排出削減を実現する水なしEBオフセット印刷システム」を適用した食品包装材を実用化する予定だと発表した。
東レは2023年9月25日、独自技術となる「VOC(揮発性有機化合物)フリー・CO2排出削減を実現する水なしEBオフセット印刷システム」を適用した食品包装材を、マレーシアペナン州のITP Foodsとともに実用化し、新商品として世界に先駆けて上市する予定だと発表した。【訂正あり】
【訂正】初出時に、「新商品として世界に先駆けて上市したと発表した」とありましたが、もとのプレスリリースの内容が「世界に先駆けて上市する予定だ」と訂正されたため、それに合わせて訂正しました。
軟包装材は、軽量性や透明性、加工のしやすさなどの特徴を持ち、食品やシャンプー/洗剤の詰め替えパウチなど各種包装用に幅広く使われており、今後も世界的な人口増加に伴い、軟包装材市場は年率3%以上の拡大が予測されている。
一般的な軟包装材の製造工程では、文字や絵柄などの情報をプラスチックフィルム上に印刷する工程で用いられるインキに石油系溶剤が使用されており、VOCの発生源となる。さらに、インキに含まれる石油系溶剤を加熱乾燥し、燃焼処理する設備が必要となるため、多量のエネルギーを使用している。
このような原反フィルムへの印刷時のエネルギー使用などによって排出されたCO2による地球温暖化への影響、VOC発生による労働環境への影響が懸念されており、印刷工程でのCO2排出量削減、VOCフリー化への対応が喫緊の課題となっている。
そこで、東レは、印刷工程におけるVOCの発生を抑制するとともにCO2排出量の80%以上を削減する環境配慮型オフセット印刷版「IMPRIMA」を用いた水なし電子線(EB)オフセット印刷技術について、各種実証、実用化検討を進めてきた。
今回、軟包装材の環境対応を重視するITP Foodsが東レの環境対応印刷技術に着目し、東南アジアの食材の質感の再現における他印刷方式と比較した優位性の観点から、先駆的な取り組みとして自社新商品のフィルム包装材に対して当該印刷技術を採用するに至った。商業ベースでは世界初となる。
また、今回上市したITP Foodsの新商品の包装材には、VOCフリー印刷システムを示す「P4Eマーク」および水なし平版で印刷されたことを表示する「バタフライマーク」が搭載されており、環境対応印刷技術を使用していることが商品外観からも認識できる。
ITP Foodsでは、この新商品を、2023年10月7〜11日の日程でドイツのケルンで開催される世界最大級の食品展示会である「Anuga 2023(Allgemeine Nahrungs-und Genussmittel-Ausstellung、食品・飲料総合展示会)」へ出展する予定で、同展示会をはじめとして本格的に環境対応印刷技術を用いた新商品の各国へのプロモーションを計画している。
東レとITP Foodsは、今後も軟包装材料の製造における水なEBオフセット印刷技術を駆使した環境対応包装材料の拡大を加速し、軟包装印刷システムにおけるCO2排出量の削減、VOCフリー化によるサステナブルな社会の実現へ貢献していく。
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