Rockwell Automationはクラウド型MES「Plex」のクラウドサーバを2023年10月1日より日本国内のマイクロソフトAzureのデータセンターでホストする。
Rockwell Automation(以下、ロックウェル・オートメーション)は2023年9月12日、東京都内で記者会見を開き、クラウド型MES(製造実行システム)「Plex」のクラウドサーバを10月1日より日本国内のマイクロソフトAzureのデータセンターでホストすると発表した。同時にPlexのユーザーインタフェースを日本語で提供し、日本語または英語で利用が可能となる。
Plexは生産管理、品質管理、設備効率など製造業にとって重要なデータを活用した業務改善をサポートするクラウド型のプラットフォームだ。自社に合わせたシステムや各種の設備を用意するのに比べて、開発までの期間やコストを削減できる上、常に最新のバージョンに保たれる。もともとは米国のPlex Systemsが提供していたが、2021年にロックウェル・オートメーションが22億2000万米ドルで買収した。
これまでは米国内のサーバから各国のユーザーにサービスを提供してきたが、近年のデータセキュリティやコンプライアンスへの意識の高まりを受けて、2023年初めには欧州/中東/アフリカ(EMEA)地域でマイクロソフトの現地サーバの利用を開始しており、今回の日本国内への設置もその流れを受けたものだ。
ロックウェル・オートメーション アジア太平洋地域社長のスコット・ウールドリッジ氏は「アジア太平洋地域におけるクラウドのホスト拠点として日本を選んだのは、ホスティングの質の高さやデータの規制を考慮したからだ。われわれは一丸となってアジア太平洋地域、特に日本におけるコミットを強化している。Plexをより日本のユーザーに使ってもらえるよう取り組んでいく」と語る。
同社 エンタープライズソフトウェア部門 副社長 兼 最高販売責任者のフレッド・へール氏は「Plexは既に800社近いユーザーがおり、過去11カ月間の稼働率は99.997%、契約更新率は96%を誇っている。設備の稼働状況や生産状況、品質管理がモニタリングにできるようになる他、現場のデータを経営層に送ることでより能動的なアクションが取れるようになる」と話す。
Plexのサーバを日本国内に設置することで、国内の法規や規制に従ったデータの保護、管理ができるデータ主権の確保をはじめ、送信遅延の低減など多くのメリットが期待できる。日本のサーバでアジア太平洋地域をカバーすることになり、米国、EMEA地域と併せて世界の3地域をカバーする体制が整う。
ロックウェル・オートメーション ジャパン 代表取締役社長の矢田智巳氏は「オンプレミス型では要件定義から始めて稼働するまで1〜2年を要し、数億円単位の規模の投資になるが、クラウド型なら開発費用を抑えて素早くスタートさせることができる。もう1つの特長として、Plexは既存のシステムの上に被せるような形で、機能を追加させることもできる」と話す。
米国では日本の自動車関連企業に多数の導入実績があり、会見では米国における豊田鉄工の原材料在庫削減の事例にも触れた。「従来のシステムでは工場にどれくらいの中間在庫があることが分かっても、工場内のどこにあって何に使われようとしているかまではあまり把握できていない。Plexならシリアル番号を付けていつどこで作るのかなどをモデル化し、それを基に必要な在庫だけ持てばいいという形になる」(矢田氏)。
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