DfAM(Design for Additive Manufacturing)メカ設計用語辞典

メカ設計者のための用語辞典。今回は「DfAM(Design for Additive Manufacturing)」について解説する。

» 2023年09月15日 09時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 定番ものからトレンドまで、設計者が押さえておきたい注目キーワードを紹介するメカ設計用語辞典。今回は「DfAM」を取り上げる。

DfAM(Design for Additive Manufacturing)とは

 DfAMとは“Design for Additive Manufacturing”の略で、日本語では「付加製造のための設計」と訳される。「付加製造」とは材料を積層しながら立体造形していく「アディティブマニュファクチャリング」のことであり、“DfAM=3Dプリントのための設計”と表現することもできる。

 現在、3D CADによる設計が主流となりつつあるが、その多くが切削加工や射出成形といった従来工法でのモノづくりを前提とした設計となっている。そのため、単にそれらを3Dプリンタの製造に置き換えるだけでは、3Dプリンタならではの強みやメリットを最大限に発揮することはできない。

 3Dプリンタの特性を最大限に生かすには、従来工法を前提とした設計から脱却し、3Dプリンタを用いた製造を前提とした設計、つまりDfAMに取り組む必要がある。例えば、切削加工や射出成形では難しかった複雑な形状を採用したり、複数部品に分けていたものを一体で造形したり、内部構造を見直して軽量化を図ったりなど、3Dプリンタだからこそ実現できる設計の方向性である。3Dプリンタならではの部品形状を導き出す設計アプローチとして、トポロジー最適化やジェネレーティブデザインなどの活用も広がりつつある。

 一方で、3Dプリンタ特有の検討事項もある。造形時に発生する反りや収縮などを防ぐために形状そのものを見直したり、3Dプリント時のレイアウト/造形姿勢などを検討したりする必要がある。また、中空構造やオーバーハング部分に必要なサポート材の付け方も重要となり、その良しあしが見た目の仕上がりや後処理の手間などに大きく影響する。造形方式や材料の特性などを含め、これら事項についてもDfAMとして考慮すべき点となる。

 そして、最も重要となるのが「どこに適用すべきか」である。現状、3Dプリンタによる部品の生産/量産は従来工法と比べてコストも時間も要する。そのため「どの部品が3Dプリントに適しているのか」を見極める力も必要となる。

 3Dプリンタの量産適用の課題としてコストの問題が挙げられる。確かに材料や製造に関するコストだけを見れば、従来工法よりもコストがかかるかもしれない。だが、製品開発全体における大幅なリードタイム短縮、金型製作や金型管理にかかるコストや手間の削減などを考慮すると、ボリュームによっては3Dプリンタによる生産の方がメリットを見いだせる可能性もある。製品開発の中にDfAMを適用し、その効果を最大化していくためには、こうした視点も欠かせない。

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