富士キメラ総研は、飲料、食品、トイレタリーなどで使用される容器・包装材料の国内市場に関する調査結果をまとめた「2023年 パッケージングマテリアルの現状と将来展望」を発表した。
富士キメラ総研は2023年8月22日、飲料、食品、トイレタリーなどで使用される容器・包装材料の国内市場に関する調査結果をまとめた「2023年 パッケージングマテリアルの現状と将来展望」を発表した。液体容器10品目、食品容器11品目、軟包装10品目、バリアフィルム7品目、その他5品目、計43品目の市場を調査対象とするとともに、環境対応素材の採用動向についても分析している。
今回の調査では、原材料高騰による値上げの影響を強く受けた2022年に続き、今後もエネルギーや人件費などのコスト上昇に伴い、市場が拡大すると予測している。
2023年 パッケージングマテリアルの現状と将来展望によれば、軟包装のスキンパック用トップフィルムは、精肉向けのバリア品の需要増加がけん引し、2026年の市場が2022年比66.7%増の5億円になる見込みだ。スキンパックは凹凸がある製品の形に添って真空状に密着し、シールして包装するため、生鮮食品のドリップ流出を防げる。賞味期限延長ニーズや、フードロス削減対策として注目されている。
軟包装のパウチ(食品用)は、レトルト食品、総菜、小麦粉用などの一般品パウチと、自動的に蒸気が抜ける構造の電子レンジ対応パウチを対象とした。開封せずに電子レンジで加熱できる手軽さから、冷凍食品やチルド食品で電子レンジ対応への切り替えが進み、市場が拡大している。バイオPET(ポリエチレンテレフタレート)の採用も進んでいる。電子レンジ対応パウチの2026年市場は、2022年比22.8%増の199億円、一般品を合わせた全体では、同比4%増の516億円になると推計している。
液体容器のスパウト付きパウチ(飲料用)の市場は、2026年に2022年比7.6%増の170億円になると予測。オフィスワーカー向けやスポーツシーンでのゼリー飲料の需要に加え、ダイエットや美容訴求の商品、子ども向けのおやつなど、さまざまな年代に飲用されていることから、堅調に市場拡大するとみられている。
バリアフィルムのシーラントフィルムは、プラスチック資源循環促進法によるモノマテリアル化への対応で、PET製が2026年に2022年比2倍の1億円に伸びると予測。一方で、全体としては横ばいから微減で推移するとしている。
同社は、プラスチック使用量やCO2排出量削減などのニーズから、環境対応素材の採用増加の傾向が今後も続くとする。バイオ樹脂や天然由来素材、紙への切り替えだけでなく、バイオマス由来やケミカルリサイクル(CR)原料の使用割合に応じてその特性を割り当てるマスバランスの認証取得や採用検討が進む見込みだ。
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