武蔵精密工業のマイクログリッド構築では、既存工場の建屋に太陽光発電パネルを設置する際に部分補強(ダイアフラム方式)を採用することで、全面補強が必要だった初期見積もり比でコストを5分の1に削減した。また、地域マイクログリッド構築を条件に高コストになる特別高圧受電設備の改造を行うことなく「一需要場所複数受電」による高圧受電設備の追加導入で対応することで初期見積もりに対してコストを半減させるなど、積極的にシステム全体の導入コスト削減に取り組んだ。「地域マイクログリッド構築事業として、豊橋市の防災機器管理課と協調して取り組めたことも大きい」(高森氏)。
本社工場のマイクログリッドの構築は開発がほぼ完了しており、今後は本格稼働に向けて鋭意準備を進めている段階にある。本社工場で本格稼働した後は同社グループの国内拠点1カ所と海外拠点1カ所での稼働を目指し、同社のGX部門と連携しながらさらなる横展開も進めたい考えだ。
自社内への導入だけでなく、エネルギー分野の新規事業立ち上げに向けた取り組みも進めていく。本社工場での本格稼働が完了次第、マイクログリッドを構成するシステムの外販の事業化検討を始める。顧客の工場ごとにマイクログリッドの仕様は変わってくるが「電力の入出力の部分をカスタマイズしつつ、マイクログリッドを構成するシステムの制御ロジックは大きく変えることなく活用できると考えている」(鋤柄氏)という。
また高森氏は「個別のシステムの販売だけでなく、今回の地域との連携によるマイクログリッド構築で得たノウハウを基に、コンサルティングを含めた地域マイクログリッド構築の提案も視野に入れていきたい」と述べている。
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