TDKは、「TECHNO-FRONTIER 2023」で、特定の部分に電圧をかけると曲がりながら伸縮する「超音波アクチュエータ素子 PUS」を披露した。
TDKは、「TECHNO-FRONTIER 2023(テクノフロンティア2023)」(2023年7月26〜28日、東京ビッグサイト)内の「第38回 電源システム展」で開発中の「超音波アクチュエータ素子 PUS」を披露した。
超音波アクチュエータ素子 PUSは、圧電セラミックスの素子内に設けた4つの活性層に電圧を印加することでさまざまな動きを実現できるチップ部品である。全体に電圧をかけると直線方向に伸縮するが、チップ部品内の対角に配置された2つの活性層に電圧をかけると曲がって伸縮する。この曲がる伸縮運動を繰り返すことで、チップ部品の端部に接着した接触子と摺動板の間に摩擦力が発生し、摺動板を動かすことができる。
会場では、超音波アクチュエータ素子 PUSを用いた複数のアクチュエータや配線部材、ボールペン、タブレット端末、専用システム、紙などで構成されるドローイング装置を披露した。このドローイング装置は、タブレット端末の専用システム上で絵を書くと、超音波アクチュエータ素子 PUSを用いた複数のアクチュエータが稼働し、搭載されたボールペンで取り付けられた紙にその絵を再現する。TDKの説明員は「この装置では、ボールペンの横(X)軸、縦(Y)軸、高さ(Z)軸、紙の固定、送り出しの各動作で超音波アクチュエータ素子 PUSを用いたアクチュエータを1つずつ使用しており、合計で5個使用している」と述べた。
超音波アクチュエータ素子 PUSのサイズは8×2.2×1.9mm、最大動作速度は毎秒250mm、使用電力は0.8W、アクチュエータの10mm以下の低背設計にも対応する。用途はカメラのシャッターやオートフォーカス/ズームのアクチュエータを想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.