日立製作所は、2022年6月の三省合意改正に基づきインターンシップでの学生情報が採用活動で活用可能になることを受けて、同社が技術職を中心に推進するジョブ型インターンシップの方向性について説明した。
日立製作所(以下、日立)は2023年7月20日、東京都内で会見を開き、2022年6月の三省合意改正に基づき2023年夏からインターンシップにおける学生情報を採用活動で活用可能になることを受けて、同社が技術職を中心に推進するジョブ型インターンシップの方向性について説明した。2020年から一部部門で試行導入しており、実施人数は4年間で6倍、ジョブ型インターンシップ経験者の採用数は3年間で3.5倍に増加しているという。このジョブ型インターンシップをはじめとするジョブ型採用の推進により、希望勤務地や職種などのミスマッチによって発生する「配属ガチャ」を解消していきたい考えだ。
日立は2009年の経営危機以降、社会イノベーション事業の拡大とグローバルでの事業成長に舵を切る形で経営戦略を大きく転換した。この経営戦略に基づき、人材マネジメントの方向性を従来のメンバーシップ型からジョブ型に転換してきた。2013年から継続的に進めてきた取り組みは、ジョブディスクリプション(JD)やジョブグレードなどを中核とした職務の見える化、タレントレビューや人材マネジメントシステム「Workday」の導入などによる人材の見える化によって、従業員本人の意欲や能力に応じた適材適所の配置が可能になっている。
ジョブ型人材マネジメントは採用活動にも適用されている。日立製作所 人財統括本部 人事勤労本部 ダイレクトアクイジション部 部長代理の大河原久治氏は「当社では、2001年度から研究開発分野の技術職の新卒採用でジョブ型採用を開始しており、現在までに拡大を進めてきた。大くくりな職種で募集してから配属面談を行うような『マス型』ではなく、新卒を含めて採用活動ではJDに基づくジョブを起点とした募集を行う『パーソナライズ採用』に転換している」と語る。2023年度の採用計画でも、経験者採用600人、新卒採用600人のうち、ジョブ型採用の比率は95%に達している。技術職は全てジョブ型採用であり、文系の新卒採用のうち約6割に当たる60人だけが非ジョブ型となっている状況だ。
このパーソナライズ採用において、ジョブの理解促進とマッチング精度向上に欠かせない施策となっているのがジョブ型インターンシップである。ジョブ型インターンシップでは、従来型のインターンシップのように企業理解を深めることよりも、学生が職種や事業分野で自身の専門性や経験が生かせるのか、現場で経験を積んでみたいといったキャリア形成の場となることを重視している。「“就社”ではなく“就職”と考えると、ジョブ型インターンシップは学生と企業の双方にとってメリットは大きい」(大河原氏)。
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