米国最大規模の医療施設チェーンである米軍医療システム(MHS)では、DevSecOpsやゼロトラスト環境といったクラウドネイティブセキュリティの実装が急ピッチで進んでいる。
米国最大規模の医療施設チェーンである米軍医療システム(MHS)では、DevSecOps(開発、セキュリティ、運用)やゼロトラスト環境といったクラウドネイティブセキュリティの実装が急ピッチで進んでいる。
国防総省(DoD)傘下の米軍医療システム(MHS:Military Health System、関連情報)は、現役軍人、予備役軍人、退役軍人およびそれらの扶養家族を対象とした国防総省所管の医療システムであり、医療ケアの提供、医療教育、公衆衛生、民間セクターとのパートナーシップ、先進的な医療研究開発など、さまざまな機能を担っている。MHSは米国最大規模の医療施設チェーンであり、以下のような施設により構成される(2022会計年度時点の数)。
患者数規模についてみると、2021会計年度時点で、年間の入院患者総数87万5100人、外来受診者総数9840万人となっている。加えて、東部/西部/海外の各地域では、地域の外部契約先が、米軍病院/診療所を越えて追加的な医療サービスを提供するために、医療提供者の文民ネットワークを設立している。
MHSは、以下のようなミッションを掲げている。
米国連邦議会の資料によると、2023会計年度におけるMHSの予算要求額は558億米ドル(約7兆8100億円)となっている(関連情報、PDF)。
表1は、2018〜2023会計年度のMHS予算規模(単位:10億米ドル)を示したものである。
表1において、「国防医療プログラム(DHP)」は、「運用/保守(O&M)」の補助科目であり、MHSの以下のような機能の財源となっている。
※)トライケア:現役軍人、退役軍人および家族向けの医療保険制度
MHSは、DHPの中で主要な活動への支出として、以下のようなものを挙げている。
MHSでは、傘下の国防保健局(DHA)(関連情報)が、医学的に即応態勢のある部隊と即応医療部隊を平時および有事の戦闘軍に提供することを可能にするため、陸軍、海軍、空軍の医療サービスを横串にした共同の統合型戦闘支援機関として機能している。DHAは、世界中に約14万人の文民および軍事要員を擁しており、以下のような業務活動を行っている。
DHAは、統合軍向けに、年間110億米ドル規模の医療サプライチェーン(約56万台の医療機器を含む)に関する調達/配分を管理している他、医療情報システムの構築/運用やサイバーセキュリティ対策を所管している。また、EHRに加えて、国防総省、退役軍人省およびその他の官民パートナーの病院/診療所間相互で、医療データを交換/共有する統合医療情報交換(HIE)システムも構築/運用している(関連情報)。参考までに、米国内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応ワクチン向け医薬品サプライチェーンシステムは、国防総省が構築した後、保健福祉省に移管されたものである(関連情報)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.