XYZプリンティングはSLS部門をNexa3Dに事業売却することを発表した。SLS以外のデスクトップ型3Dプリンタに関しても本体の販売を2023年9月15日をめどに終了し、段階的に3Dプリンタ事業から撤退する。国内で販売済みの3Dプリンタの消耗品はイグアスを通じて供給を継続。修理などは今後3～5年間を目標にサポートするよう努めるとしている。

» 2023年07月10日 09時30分公開

[八木沢篤，MONOist]

　台湾の新金宝グループ傘下のXYZprinting（XYZプリンティング）は2023年7月1日、産業用3Dプリンタを手掛けるSLS（粉末焼結積層造形）部門を、米国の3DプリンタベンダーNexa3Dに事業売却することを発表した。また同時に、SLS以外のデスクトップ型3Dプリンタに関しても、製品本体の販売を同年9月15日をめどに終了し、段階的に3Dプリンタ事業から撤退する。

　これに併せ、日本法人であるXYZプリンティングジャパンもWebサイト上で3Dプリンタ事業の撤退と公式オンラインショップ「XYZ e-shop」の閉店を表明している。

　日本国内で販売済みの3Dプリンタの消耗品や材料については、国内総代理店であるイグアスを通じて継続的に供給を続ける。既にXYZ e-shopのTOPページにはイグアスが運営するECサイト「サプライズバンクドットコム」へのリンクが設置されている。一方、3Dプリンタ本体の修理やアフターサービスに関しては、今後3～5年間（製品ごとの状況により期間が異なる）を目標にサポートするよう努めるとしている。

同社Webサイトに掲載された3Dプリンタ事業撤退と公式オンラインショップ閉店のお知らせ［クリックで拡大］出所：XYZプリンティング

　XYZプリンティングの設立は2013年7月（日本法人は2013年11月）で、10万円以下で購入可能な家庭用デスクトップ型3Dプリンタ「ダヴィンチ」シリーズを市場投入し、当時の3Dプリンタブームをけん引してきた。2019年には産業用3Dプリンタ市場にも進出し、家庭用と同じく、非常にリーズナブルな産業向け装置を展開するなど注目を集めていた。

2015年4月に販売開始された「ダヴィンチ Jr. 1.0」。発表当時の価格は4万9800円（税込み）と5万円を切る価格帯でも大きな話題となった［クリックで拡大］出所：XYZプリンティング

　今回の3Dプリンタ事業の撤退は、コロナ禍やウクライナ戦争の影響などさまざまな外的／内的要因が重なり、当該事業を取り巻く環境が大きく変化したことに起因するという。

　XYZプリンティングジャパンゼネラルマネージャーの佐藤一幸氏は、3Dプリンタ事業撤退の告知の中で「この度の決定は、私たちXYZプリンティングが目指す志半ばでの事業撤退となり非常に残念ですが、長年にわたり皆さまからの多大なるご支援ご高配を賜り心より感謝とお礼を申し上げます」とコメントを寄せている。

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