XYZプリンティングジャパンは、パーソナル3Dプリンタ製品「ダヴィンチ 1.0 3Dプリンタ」の国内販売開始を発表した。6万9800円と低価格ながら、組み立てや調整が不要で、箱から出してすぐに使えるのが特徴。ABS樹脂のフィラメントはカートリッジ式を採用し、日本語での国内サポートが受けられる点も見逃せない。
台湾Kinpoグループ傘下のXYZprintingの日本法人であるXYZプリンティングジャパンは2014年3月18日、低価格なパーソナル3Dプリンタ製品「ダヴィンチ 1.0 3Dプリンタ」を発表。同日より、ビックカメラグループ店頭での販売を開始した。
販売価格は税込み6万9800円(4月の消費税率変更後も同額で販売)。既に台湾で販売が開始されており、同年2月に中国、3月に日本で展開し、4月以降からは米国および欧州での販売を計画している。今後3年間の目標販売台数は100万台だという。
XYZプリンティングジャパン ゼネラルマネージャーの吉井宏之氏は、「われわれのミッションは、誰もが自宅で手軽に3Dプリンタを楽しめる環境を作ることだ。Kinpoグループは、エレクトロニクス、メカトロニクス、ソフトウェアといったさまざまな技術を保有し、長年、各種プリンタやコンシューマ製品の設計・製造を行ってきた。こうした技術力や生産ノウハウなどを有効活用することで、低価格で高品質な3Dプリンタを実現できた」と説明する。
同製品は、低価格ながら、組み立てや調整が不要で箱から出してすぐに使えるのが特徴。「他の低価格製品のような組み立てキットではなく、完成品として販売する。また、むき出しではなく筐体できちんと囲われているため、臭いや動作音の発生を防ぎ、風や外気などの影響も受けにくい」(吉井氏)。
最大ワークエリアが200×200×200mmと、一般的なパーソナル3Dプリンタよりも2割程度大きいサイズを出力できる。本体サイズは468×510×558mmで、重さ23.5kg。対応するフィラメント素材はABS樹脂で、熱溶解樹脂積層法(FFF:Fused Filament Fabrication)を採用。印刷ヘッドはシングルで、ヘッド直径1.75mm、ノズル直径0.4mm。積層ピッチは0.1、0.2、0.3、0.4mmから選択可能で、印刷速度は150mm/秒である。製品本体に搭載されている液晶パネルは日本語(カタカナ)をサポート。印刷品質の確保・向上を支援する自動キャリブレーション機能やノズルのオートクリーニング機能、ソフトウェアモニターによるフィラメントの残量確認機能などを備える。対応OSは、Windows 7以降、Mac OS X 10.8以降で、USBケーブルでPCと接続して利用する。
ABS樹脂のフィラメントも従来のロール式のものではなく、カートリッジ式を採用し、使い勝手を追求している。現在、白、黒、赤、青、緑、黄の6色を販売。同年4月以降、さらに6色を追加して、全12色を提供する予定だ。1カートリッジ当たりのフィラメントの容量は600g(250m)で、3280円(税込)で販売される。
また、すぐに利用できるようSTL形式の3Dモデルデータをサポートする同社オリジナルのプレビューソフトウェア「XYZware」をバンドル。ズームや回転、サイズ変更が可能な他、印刷品質の設定から、オブジェクトのスライス、印刷の実行までが行える。加えて、3Dモデルデータを無償で入手できる「XYZクラウドギャラリー」を公開。現在、500点ほどのデータが掲載されており、今後さらに増やしていく予定だという。個人で作成した3Dデータのアップロードも可能で、日本のみならず、世界中からさまざまなデータを集め、公開していくという。
なお、同製品には1年間の製品保証が付く他、電話やメールによる日本語でのサポートを受けることができる。
発表会では、今後のロードマップとして、2014年内に販売する計画の次期製品「ダヴィンチ 2.0」と「ダヴィンチ 2.1」についても紹介。ダヴィンチ 2.0は、PLA(ポリ乳酸)/ABS樹脂をサポートするデュアルヘッド搭載モデル、ダヴィンチ 2.1は無線LAN対応モデルである。両モデルの販売価格は未定。「競合製品よりも低価格で提供できるだろう」(吉井氏)という。
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