ダッソー・システムズの年次カンファレンス「3DEXPERIENCE Conference Japan 2023」では「バーチャルツインが実現する日本のDX」をテーマに、「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を活用したビジネス変革の事例やDXの取り組みなどを紹介した。本稿では、基調講演の模様をダイジェストでお届けする。
ダッソー・システムズは2023年6月16日、年次カンファレンス「3DEXPERIENCE Conference Japan 2023」(会場:東京ミッドタウン ホール&カンファレンス)を4年ぶりにリアル開催した。「バーチャルツインが実現する日本のDX」をテーマに掲げ、同社の「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を活用したビジネス変革の事例や、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みなどについて情報発信を行った。本稿では、同日午前中に行われた基調講演の模様をダイジェストでお届けする。
冒頭、ダッソー・システムズ 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏は、近年のAI(人工知能)に対する注目度の高まりに言及するとともに、「AIを『使いこなす』とはどういうことなのか?」と投げ掛け、「エンジン」「データ」「レギュレーション」の3つの領域に分けてその考えを示した。
エンジンとは、AIのアルゴリズム、コア技術と言い換えることができる領域だ。現在、世界中の多くの企業でAI関連の技術開発が加速する中、ダッソー・システムズ自身も独自のAI技術を開発、保有しており、それらを応用したソリューションをさまざまな専門領域に向けて提供しているという。そして、こうしたAI関連のテクノロジーは日々刻々と進化、発展しており、「その成長は巨大な宇宙のようになりつつある」とゴドブ氏は表現する。
続いて、データに関して、ゴドブ氏は「生成AIやインタラクティブAIは、その力を確かなものにするために膨大な量のデータが必要となる。製造業であればIoT(モノのインターネット)を活用することで、実際の製造システムなどから膨大な生産情報(データ)をリアルタイムに収集でき、学習させることができる」と述べ、データが作成された瞬間に、蓄積され、情報の波が途切れることなく常にデータを収集し続けられるサイクルの重要性を説く。
レギュレーションとは、各国で急速に議論が進みつつあるAI活用のための戦略や規制の枠組みに関するものだ。ゴドブ氏は「AI活用において、規制は避けては通れないものであり、その内容は常に変化していくものだ。そのことをわれわれは理解しておく必要がある」と説明する。
そして、今後AIを活用した新しい製品やサービスを作るのであれば、エンジン、データ、レギュレーションに関する正しい情報を取得し、それら3つの要素を個々ではなく、全体的に捉える必要があるという。ゴドブ氏は「エンジン、データ、レギュレーションの各要素は常に変化し、成長を続け、新しい情報の波が押し寄せてくる。これら3つの要素を間違った方向で追求したり、別々に行ったりすると、満足する製品やサービスにはならない」と指摘する。
こうした考えに基づき、ダッソー・システムズは自身の立ち位置を“AIを使いこなすための重要な隣人(パートナー)である”とし、3DEXPERIENCEプラットフォームを中核に、複数のAI機能を含むモデリング&シミュレーション、レギュレーション管理、コラボレーション、予測/分析といった機能を一体となって提供し、バーチャルツインエクスペリエンスによる価値をもたらすとしている。
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