不定形物認識技術を備える食材ピック&プレースロボット向けビジョンシステム:協働ロボット
アールティは、ピック&プレースロボット向けビジョンシステム「NEKONOTE Vision Ver.1.00」を発表した。推論モデル作成モジュールとオブジェクト検出モジュールを搭載し、バラバラに積まれた食品などの不定形物をピッキングできる。
アールティは2023年6月5日、ピック&プレースロボット向けビジョンシステム「NEKONOTE Vision(ネコノテビジョン)Ver.1.00」を発表した。不定形物の認識技術を搭載し、バラ積みされた食材をピッキングできる。
同システムは、食品業界にAI(人工知能)とロボティクスの進化をもたらすことを目的に開発された。食品などの不定形物3D認識が可能な推論モデル(事前学習済みネットワーク)作成モジュールと、オブジェクト検出モジュールを搭載する。
推論モデル作成モジュールにはアノテーションツールも含まれるため、ユーザーの手元で不定形物の認識用推論モデルを作成できる。オブジェクト検出モジュールは作成した推論モデルを適用して、3次元の位置や推定重心位置、く形、マスクなどを取得でき、バラバラに積まれた不定形物のピッキングが可能になる。
RGBと距離画像の推論モデル作成には専門的な知識を要することから、同社は推論モデルの作成サービスも提供する。RGBと距離画像の取得工数やアノテーションコストを抑制しながら、ディープラーニングアプリケーションの開発が可能になる。
同社は、2016年から食品業界向けに不定形物3D認識ソフトウェアの開発に取り組み、人型協働ロボット「Foodly」や野菜ピッキングロボット「NEKONOTE Vegepicker」などのシステムに搭載してきた。これまでの実績を踏まえ、ビジョンシステム単体をNEKONOTE Vision Ver.1.00としてリリースする。
⇒その他の「協働ロボット」の記事はこちら
- 入れ損ねても仲間がカバー、2台の人型協働ロボットが食材盛り付け連携
アールティは「FOOMA JAPAN 2023」において、人型協働ロボット「Foodly」を使ったデモンストレーションを披露した。
- 人協働ロボットを活用した、冷凍フライ投入システムを開発
デンソーウェーブとアールティは共同で、人協働ロボット「COBOTTA PRO」を活用した冷凍フライ投入システムを開発した。食品工場で人の手で実施している、冷凍フライの取り出しからフライヤー投入までの作業を自動化する。
- 協働ロボットはコロナ禍の人作業を補う手段となり得るか
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による混乱は2021年も続きそうな兆しを見せている。製造現場でも人の密集や密閉空間による作業が制限される中、これらを回避するために人作業の一部を代替する用途で期待を集めているのが協働ロボットの活用だ。2021年はコロナ禍による働き方改革も含め、製造現場での協働ロボット活用がさらに加速する見込みだ。
- 人手不足対策で完全自動化は逆効果、人とロボットの協力をどのように切り開くか
人手不足に苦しむ中で、工場でもあらためて自動化領域の拡大への挑戦が進んでいる。その中で導入が拡大しているのがロボットである。AIなどの先進技術と組み合わせ、ロボットを活用した“自律的な全自動化”への取り組みも進むが現実的には難易度が高く、“人とロボットの協調”をどう最適に実現するかへ主流はシフトする。
- 協働ロボット、ロボットシステムに残された課題と未来
協働ロボットを現場で活用するのにどのような工夫が必要か――。ロボット技術の総合展示会「2017国際ロボット展」では、ロボットメーカーおよびユーザー企業によるパネルディスカッション「ロボットフォーラム2017」が実施され、協働ロボットの意義について語った。
- 機械は人の仕事を奪わない、“人とロボットがともに働く現場”が拡大へ
2016年は人工知能関連技術が大きな注目を集めて「機械が人間の仕事を奪う」という議論が大いに盛り上がりを見せた。こうした一方で2017年には「現場」において、こうした動きと逆行するように見える「人とロボットが協力して働く世界」が始まりを迎える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.