Webリニューアルが逆効果に? 問い合わせを減らさない製造業のサイト改革間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(4)(2/2 ページ)

» 2023年06月14日 08時00分 公開
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失敗しないWebリニューアルに必要な準備

 ではどうすればWebリニューアルを成功に導けるのか? その手順について説明をする。

Webサイトリニューアルの事前準備 出所:テクノポート
  1. 目的の明確化
     リニューアルで何を達成したいのか明確にする必要がある。マーケティングの観点だけでなく、デザインの刷新やユーザビリティの向上を目的にリニューアルを行うケースもある。まずは、社内で目的を共有することがスタートとなる。
  2. 現状の分析
     Google AnalyticsやSearch Consoleを利用し、ページごとのアクセス数、閲覧開始数、どのようなキーワードで流入しているか、そのキーワードの順位などを表にまとめ、ページごとに必要か否かを精査する。この点を押さえれば大幅なアクセス減少問題の大半が回避できる。
  3. 主となるターゲットユーザーの設定
     3C分析による調査とターゲット設定を行う。リニューアルに際して、市場や競合、自社の提供価値に変化がないかを見極めた上で、ターゲットとするユーザーを再設定する。
  4. キーワード需要調査
     ユーザーが検索するであろうキーワードの調査と選定を行う。2の段階で集客に貢献していると判断したページは残しつつ、プラスアルファで対策できるキーワードがないかを調査、選定し、コンテンツの制作可否を検討する。利用するツールはキーワードプランナーなどで、ターゲット顧客が使用しそうなキーワードの検索需要をきちんと調べる。
  5. サイトマップの作成
     選定したキーワードをサイトマップに落とし込む。どのページでどのキーワードで対策をするのかを想定する。また、SEO対策用のページだけでなく、訴求力を高めるページ、クロージングページなど、ページごとの役割を考え、サイトマップをまとめる。

 なお、リニューアル前とURL構造が変更された場合、検索エンジンが古いURLをインデックスしているため一時的にアクセス数が落ちる可能性がある。また、古いURLにアクセスしようとするユーザーが404エラー※1に遭遇し、サイトへのアクセスを断念する場合もある。ページのURLが変更される場合にはリダイレクト処理※2が必要となる。

※1:アクセスしたWebページが存在しない場合に生じるエラーのこと。

※2:リダイレクトとは、Webサイト全体やページなどを新しいURLに変更したときに、自動的に新しいURLに転送する仕組みのこと。

 気付かずに404エラーを生じさせないためにも、既存サイトのページ構成ごとのURLを残しておき、リニューアル後にどのページにリダイレクトするかを事前に決めておくとよい。

 上記のステップで現サイトを分析して、良いところは残し、新サイトに引き継ぐ工夫が重要だ。

 余談だが、会社の規模が大きくなるにつれて集客目的だけでなく、株主や採用応募者のためなど、さまざまなユーザーに閲覧してもらいたくなる。その中で、技術的な細かな話は不要で、概要だけ伝われば十分という意見も出てくる。つまり、Webマーケティングの観点と会社全体の観点では目的が異なる可能性がある。その点を理解し、Webサイトがどのようにあるべきかを社内できちんとすり合わせることが非常に重要だと筆者は考える。


 ここまで、Webサイトリニューアルを失敗しないための手法について紹介してきた。何十年も前のWebサイトをリニューアルするというわけではなく、2〜3年に一度のペースでリニューアルを行う会社も最近では増えている。その際、「Webサイトリニューアル=反響アップ」とは必ずしもならないことや、SEO的に重要なページの分析が特に大事になることには注意していただきたい。

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筆者紹介

小林正道
テクノポート株式会社 取締役

製造業のWebマーケティング支援を15年以上行っている。製造業への訪問実績は2,000社を超える。幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規開拓営業の支援を行う。
『マーケティングスキル×Webスキル(SEO中心)×製造業に関する深い知識』
この3つのスキルを組み合わせることで独自の専門領域を作り、卓越した力を発揮する。
日本工業大学技術経営学修士(MOT)2023/3卒業


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