コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第4回のテーマは「Webサイトのリニューアルで失敗リスクを減らす方法」だ。
Webリニューアルは企業のWebマーケティングを強化する重要なプロセスだが、うまくいかない事例も多々ある。この記事では、製造業の企業がWebサイトのリニューアルを進める際に、失敗のリスクを減らせる方法を具体的なステップで紹介する。
当社に寄せられる相談には、Webリニューアル後に問い合わせが減ったというものや、減ったわけではないが以前と問い合わせ数が変わらないといった、リニューアルの意義が感じられないケースもあるようだ。相談内容は主に2つが挙げられる。
リニューアル時の相談では以下のような要望を多くいただく。
ここで気を付けたいポイントが3の「Webサイトに力を入れたいのでリニューアルをしたい」である。リニューアルすることで1と2は必然的にクリアできるが、3は少し事情が異なる。「Webサイトをどうリニューアルするか」の方向性が明確ではなく、それによって現状より良くなる可能性もあれば悪くなる可能性もあるからだ。
問い合わせが減ってしまう原因について述べる前に、先に「良いWebサイトの条件」を整理しておこう。
検索エンジンの検索結果に表示される順位は、サイトの集客に大きな影響を与える。SEO対策をしっかり行い、検索結果の上位表示を目指すことが大切だ。
サイトのコンテンツが充実しているかどうかは、ユーザーにとって重要なポイントの1つだ。正確で分かりやすく、また、情報の信頼性や価値が高いことが求められる。
サイトを利用するユーザーにとって、簡単かつ快適にサイトを利用できることが重要だ。ナビゲーションの使いやすさ、コンテンツの見やすさや読みやすさ、操作性など、ユーザビリティを高めることが大切だ。
見た目の美しさや統一感があるデザインは、ユーザーにとって快適な体験を提供できる。色やレイアウト、フォントの使い方にも気を配る必要がある。
ページの読み込み速度は、ユーザーにとって重要な要素の1つだ。サイトのページが速く表示されることで、ユーザーはストレスを感じずに閲覧できる。
スマートフォンやタブレット端末など、ユーザーの閲覧環境に応じた見やすいレイアウトが必要になる。
反響を出すために直接的ではないが、企業が継続的に運営をしていくためには必要不可欠な要素である。
これらの条件を考慮しながらWebリニューアルを進めれば、大きな失敗を避けることができるだろう。
前述の点に注意しつつWebサイトをリニューアルする必要があるが、アクセス数の減少には注意したい。リニューアル後の失敗を生む一番の要因だ。SEO的な観点でどのページで集客ができていたのかを分析せずに、集客できていたページを「見た目や全体構成をすっきりさせたい」という理由で切り捨ててしまったというケースが非常に多く見られる。
特にB2B製造業の場合、サイト内のユーザビリティが悪いから離脱するといったケースはECサイトなどと比べて少ない。それよりも、全体のアクセス流入数が減ってしまっていることが失敗につながると考えられる。そのため「ページが多く存在し、ごちゃごちゃしているので整理したい」「余計なことは書かずにシンプルに伝えたい内容だけ伝えたい」という場合は注意が必要だ。
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