パナソニック インダストリーはオンラインで開催された「Panasonic Group 事業会社戦略説明会 2023」において、中長期戦略の進捗と今後の取り組みについて説明した。
パナソニック インダストリーは2023年6月1日、オンラインで開催された「Panasonic Group 事業会社戦略説明会 2023」において、中長期戦略の進捗と今後の取り組みについて説明した。
2022年度の実績については、売上高は前年度比521億円増の9605億円、調整後営業利益は同228億円減の589億円だった。為替効果で増収にはなったが、後半の急激な市況の悪化を受けて減益となった。材料費の高騰は合理化などの取り組みでカバーしたが、実質販売減を補い切れなかった。半導体不足に伴う急激な在庫の増加については、SCMなどのオペレーションを強化して適正化を図り、営業キャッシュフローは前年度比484億円増の1199億円となった。
2023年度については、売上高は前年度比55億円増の9660億円、調整後営業利益は同1億円増の590億円と見通す。前半で市況は底を打つものの、回復は緩やかなものになると予測。本格的な回復は2024年度と見込む。ただ、増産や研究開発に対する投資は前年度を上回る水準で実施する。
自動車業界では半導体不足の問題が徐々に解決に向かい前年度並みを想定する。同社の販売比率の約4割を占める車載CASEの領域においては、環境車を中心に高い成長が継続するため関連事業の増産に向けた対応をする。サーバ、データーセンター、基地局、ICT端末などは、本格的な回復は2024年度以降になると想定し、中国でのFA事業についても設備投資に対する慎重な姿勢が続くと見る。
一方で、AI(人工知能)向けサーバの動きを注視する。パナソニック インダストリー 代表取締役 社長執行役員 CEOの坂本真治氏は「高性能サーバ、とりわけ生成AIのサーバは、キャパシタだけでも26倍くらい数が増える。基板材料のメグトロンの使用面積も数倍増える。生成AIのサーバは、サーバの中でまだ2、3%の構成比だがプラスの影響が非常に大きい。オーダーが既に入り始めているので、しっかりと捉えていきたい」と語る。
同社では社会的ニーズが高く、電子部品業界の平均を大きく上回る水準で成長する車載CASE、情報通信インフラ、工場省人化の3つの重点事業領域、リレーやコンデンサー、電子材料、FAソリューションの4つのコア事業を定めており、中長期的には2022年度で5割のコア事業の割合を2030年度に7割以上に高め、売上高1兆8000億円、調整後営業利益率も2022年度の6%から2030年度に15%以上への成長を目指す。
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