TDKは、受動部品をはじめとする各製品に求められる独自の材料技術を開発する中で、併せて必要になるデータ解析技術も蓄積してきた。しかし、その技術は各事業部や各部署の中で蓄積され、全社に展開する点で課題があった。
一方、近年、AIやビッグデータを活用し、材料開発を高効率化するMIが世界的に注目を集めている。そこで、同社は、2013年からMIの取り組みを開始し、磁石材料や誘電体材料の開発への適用などを進めるとともに、Aimの開発を2018年から開始した。
2019年以降は、Aimを日本国内で試験的に導入し、材料の画像解析で高速/高精度な解析に活用してきた他、本格導入に向けて機能拡充を進めてきた。そして、データ解析やデータベースなどの機能拡充を実施し、MIを活用する仕組みが整ったことから、Aimの運用を2023年4月に運用を開始した。
同社 技術・知財本部 材料研究センター 第5材料研究室 室長の梅田裕二氏は、「MIを導入する以前は、電池、誘電、磁石の課題解決を目指し、技術者の知見とノウハウを基に得られたデータを解析し成果を得ていた。MIの導入以降は、集めたデータをAIが考察し、高度な解析が行えるようになった」と述べた。
【訂正】初出時に、記事に誤った所属部署名を掲載していました。お詫びして訂正致します。
MIの実績として、2018年に実現した新規磁石材料の発見や2021年に開発した高周波材料の損失予測方法についても紹介した。
新規磁石材料の発見では、独自開発した機械学習プログラムと367個のデータを基に、残留磁束密度(Br)と角型性(Hk/HcJ)に優れる可変磁束磁石を見つけた。高周波材料の損失予測方法では、全て第一原理計算で行うと約2.5年かかる約2000種の材料の損失予測に要する時間を約30日に短縮した。
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