大手エレクトロニクスメーカーが、家具関連の展示が圧倒的に多い「ミラノデザインウィーク」に出展している。現地で見たGoogleやSamsung Electronicsなどの展示を通じて、その意義を読み解く。
ミラノの街のそこかしこで同時展開する数十ものイベントを通して、生活を彩るデザインの最先端を感じられるのが、世界最大のデザインイベント「ミラノデザインウィーク」だ(本来メイン会場の展示のみを指す「ミラノサローネ」の呼称を使う人も多い)。
家具メーカーの展示が圧倒的に多いが、実はSamsung Electronics(以下、Samsung)やLG Electronicsなどのエレクトロニクスメーカーも十数年来の常連出展者となっており、5年前の2018年からGoogleも出展している。
Googleは、中心街から少し離れた住宅街にある会場で「Shaped by Water」という展覧会を開催。会場を訪れると幅も高さも異なる11本のメタル製の支柱が立っている。近寄ってのぞき込むと、柱の上が器になっており中に水が入っていることが分かる。しばらくすると、人感センサーに反応して水が振動を始め、水の上に幾何学的な波模様が描かれる。
これは、Googleのデザインチームが発見した1993年生まれの米国人アーティストLachlan Turzcan氏の作品で、その後の展示で示そうとしているGoogleのデザイン姿勢に共鳴する部分があるということで、この作品が展示されたという。続く展示は、同様に水を振動させた波模様に光を反射させ、天井に映し出される模様を寝そべりながら楽しむ作品だ。
Google デザイン担当 バイスプレジデントのIvy Ross(アイビー・ロス)氏は「自然こそが偉大なデザイナーであり、Googleのデザイナーは常に自然界に目を向けている」と語る。そんな自然物の中でも水は地球上に最も豊富な化合物であり、人の身体もそのほとんどは水でできている。Googleでは、ともすれば難解で遠い存在に感じかねないデジタル機器に、こうした水の形や花々の色など、自然界の要素を反映することで親しみを加えているという。
最後の部屋では形状の異なる小さな器が用意され、その上の水たまりを表面張力が崩れる直前まで膨らませる展示を行っていた。器の形が異なると、その上の水たまりの形も微妙に変わってくるが、Googleでは「Google Home Mini」や「Google Pixel」「Google Pixel Watch」といった製品の形状デザインで、これら水たまりの形状を参考にしているという。また、製品のカラーバリエーションにおいても、身近にある花々の色からインスピレーションを受けていると、展示を通じて紹介していた。
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