機運高まる高圧水素ステーション向けOリング、ハノーバーメッセ機に欧州で実績もハノーバーメッセ2023

高石工業は「ハノーバーメッセ2023」において、高圧水素ステーション用Oリングを展示した。

» 2023年05月09日 13時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 高石工業は「ハノーバーメッセ(Hannover Messe)2023」(2023年4月17〜21日ドイツ時間、ハノーバー国際見本市場)において、高圧水素ステーション用Oリングを展示した。

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高圧水素に耐えられるOリング 高圧水素に耐えられるOリングを展示[クリックで拡大]

 今回のハノーバーメッセで、大きなテーマの1つとなったのが水素利用だ。会場のハノーバー国際見本市場に最寄りのドイツ鉄道の駅から一番近く、人の流れが多いホール13を中心に関連企業約500社がソリューションを展示した。2023年4月には、ドイツで稼働していた最後の原発が運転を停止しており、代替エネルギーの選択肢として関心は高まっている。

 1948年創業の高石工業は国内3カ所とベトナムに工場を設け、主に温水洗浄便座など住宅設備向けにパッキンやOリングなどを生産している。九州大学 水素材料先端科学研究センター 教授の西村伸氏から依頼を受けて2008年から水素曝ろ用試験片の製作に着手し、2013年に−40℃の水素環境で使えるOリングを完成させた。同年の「中小企業総合展 東京」に出展した際に受賞したベストプラクティス賞の副賞として、2014年にハノーバーメッセに初めて出展した。以降、コロナ禍による中断期間を除き、連続出展している。

 高石工業 代表取締役の高石秀之氏は「初めて出た時に良い手応えが得られたので、1回ではもったいないから3回は続けて出ようと社内で話をした。3回続けて出たら新しい引き合いが増えてきた。それでまた続けて出ようとなり、今回で8回目の出展になった。2014年に出た時は、水素関連の展示の規模も小さく、展示されてい内容も技術開発の延長のようなものが多かった。今回は出展者の数も増え、量産して発売するという話を多く聞いており、水素が次世代のエネルギーの1つとして認知されてきていると感じる」と話す。高石氏本人も来場者の目にとまり、記憶に残るよう合気道着を着用するなど工夫もこらす。

高石工業の高石氏 ハノーバーメッセの会場で合気道着を着る高石工業の高石氏[クリックで拡大]

 水素は非常に小さい分子のため物質を透過しやすいが、高石工業は独自の配合により高圧の水素にも耐えられるOリングの開発に成功した。もともと海外企業との取引はなかったが、ハノーバーメッセに出展以降、のべ数十社にサンプルを求められ、実際に欧州の水素ステーションに採用される例も出てきた。

 高石氏は「水素は必ず大きくなっていく産業だと思う。これから10年、20年かけてわれわれの大きな事業に育ってほしいと期待している。創業100周年を迎えた時には、水素が高石工業の新たな看板の1つになっていてほしい」と意気込む。

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