2023年4月17日(ドイツ時間)、世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」が開幕する。会期は同月21日までの5日間。世界各国から4000以上が出展し、最新技術を展示する。
2023年4月17日(ドイツ時間)、世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」が開幕する。会期は同月21日までの5日間で、「インダストリー4.0」「製造のカーボンニュートラル化」「AI(人工知能)&マシンラーニング」「エネルギーマネジメント」「水素と燃料電池」の5つのトピックを中心に、世界各国から集まった4000以上の出展者が、最新技術を展示する。
今回のハノーバーメッセのメインテーマは、「Industrial Transformation−Making the Difference」だ。機械工学、電気工学、デジタル産業、エネルギー分野の4000以上の出展者が、生産プロセスのデジタル化および自動化、産業へのAI導入、水素による工場への電力供給、CO2排出量の記録および削減を実現するソフトウェアなど、8000以上の製品やソリューションを紹介する。
開催に先立ちドイツメッセCEO(最高経営責任者)のJochen Kockler(ヨッヘン・コックラー)氏は、「ハノーバーメッセでは、現在の世界的な課題に対するソリューションが展示される。カーボンニュートラル、AI、水素技術、エネルギーマネジメント、インダストリー4.0はメッセの包括的なテーマだ。これらの技術が相互に作用することで、初めて産業の発展を持続可能な形で実現し、同時に気候保護を推進することが可能になる」と語っていた。
例えば、CO2排出量削減にもつながる水素利用に関しては500以上の企業がソリューションの展示を行う予定。Kockler氏は、「ハノーバーメッセは、水素をテーマとした世界で最も重要かつ最大のプラットフォームになる」と述べている。
また、ChatGPTの登場によって注目が集まる生成系AIの製造業向けソリューションも展示される。ドイツ・ハイデルベルクのAIスタートアップAleph AlphaがHewlett Packard Enterprise(HPE)と開発したシステムで、チャットによって、工場の従業員が協働ロボットと自然言語で対話し制御を可能としている。Kockler氏は、「AIは、製造業の効率を高めるきっかけになると同時に、ドイツや欧州における熟練労働者不足を解消しうる、重要な要素だ」と語っている。
このほか、メッセでは製造業全体のデータ共有基盤構築に向けた構想である「Manufacturing-X」といったデータエコシステム、機械レベルでのエネルギー消費の特定と最適化を支援し、二酸化炭素排出量を削減する「スマートエネルギーモニタリング」などの最新動向も紹介される。
2023年4月16日夜に開催されたオープニングセレモニーでは、ドイツのOlaf Scholz(オラフ・ショルツ)首相も出席。壇上に立ったショルツ氏は、持続可能な社会に向けた取り組みによる産業変革について、「変革は、ドイツにとって大きなチャンスであり、雇用や成長の大きな原動力となるものだ」と言及。その実現のため、「確実な投資計画を立てられる、明確で信頼性の高い具体的な目標」「迅速な許認可」、そして「十分な熟練労働者」が必要であるとし、各取り組みを強化することを強調していた。
今回のメッセでは、ドイツのほか米国や中国、イタリア、トルコ、インドネシアからも多くの企業/団体が出展。Amazon Web Services、Microsoft、Google、SAP、Siemens、Bosch、NOKIA、ServiceNow、Schneider Electricなどの世界的なハイテク企業の他、Beckhoff Automation、Festo、Harting、ifm、Pepperl+Fuchs、Phoenix Contact、Rittal、SEWといった中規模のテクノロジー企業も名を連ねている。また、フラウンホーファーやKIT(カールスルーエ工科大学)などの研究機関や300以上のベンチャー企業も参加しさまざまな最新技術を展示する。
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