矢野経済研究所は、PETボトルリサイクルの国内市場に関する調査結果を発表した。2022年のB to B用リサイクルPET樹脂の国内供給能力は、26.7万tに拡大する見込みで、今後は使用済みPETボトルの確保が課題となる。
矢野経済研究所は2023年4月11日、PETボトルリサイクルの国内市場に関する調査結果を発表した。
調査結果によれば、2022年のBottle to Bottle(B to B)用リサイクルPET樹脂(rPET)の国内供給能力は、対2021年で約1.8倍の26.7万t(トン)に拡大すると見込む。2023年以降供給能力はさらに拡大し、40.4万tになると予測する。
清涼飲料の主要メーカーは、使用済みPETボトルを原料に新たなPETボトルを製造するB to Bを進めてきた。その製造過程では、アルカリ洗浄や代理汚染試験に加え、再縮合重合の設備と技術が必要となる。B to Bの成形が可能なrPETメーカー(リサイクラー)は限られるため、2021年のB to B用rPETの供給能力は15万tと、将来的なrPET需要量の3分の1程度にとどまっていた。
2022年以降は、リサイクラー各社がrPET生産設備の新設や増強を計画、実行。また、他用途に展開していたリサイクラーによるB to Bリサイクル事業への参入、商社などによる新規リサイクラーの立ち上げもあり、rPETの国内供給能力は大幅に拡大する見通しだ。
今後は、rPETの供給能力の拡大を受けて、リサイクラーの処理能力が国内で販売されるPETボトル販売量を上回る見込みで、使用済みPETボトルをいかに確保するかが課題となる。この課題を解決するために、アセアン地域などに日本のPETボトルリサイクル技術を投入すれば、国内リサイクラーの処理能力を満たせる可能性がある。
また、B to Bおよび食品容器向けのrPETは国内での循環を維持し、それ以外の産業用途のrPETではアジアでのリサイクル体制を構築するなど、rPETを必要な地域、用途に適切に循環させていくことが、サーキュラーエコノミーのさらなる進展につながるとしている。
 産業用IoTプラットフォームは4タイプに分類可能、矢野経済研究所が調査
産業用IoTプラットフォームは4タイプに分類可能、矢野経済研究所が調査 商用車の電動化比率は2035年に50%か、積載量や走行距離への対策も進む
商用車の電動化比率は2035年に50%か、積載量や走行距離への対策も進む EVの“本格的な普及”は2025年か、それとも2035年か
EVの“本格的な普及”は2025年か、それとも2035年か 屋内位置情報ソリューション市場の本命はBLEではない?
屋内位置情報ソリューション市場の本命はBLEではない? 国内CAD/CAM/CAEシステム市場、成長が若干減速するも2019年度は4000億円規模
国内CAD/CAM/CAEシステム市場、成長が若干減速するも2019年度は4000億円規模 iPhone用リチウムイオン電池の技術動向変化を発表
iPhone用リチウムイオン電池の技術動向変化を発表Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
素材/化学の記事ランキング
コーナーリンク