コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第2回のテーマは「製造業がWebサイトを活用する上での3つの壁」だ。
製造業の新規顧客開拓において、Webサイト活用の重要性は増す一方だ。しかし一方で、Webサイトを思うように活用できていないと感じている企業も少なくないだろう。第2回の本記事では、Webサイトを活用する上での"壁”と、その壁を乗り越えるためにすべきことを紹介する。
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製造業がWebサイトを最大限活用する上では、大きく分けて3つの壁が存在する。その原因に合わせた処方が必要になるため、まずは現状を把握することが重要だ。
Webサイトはアクセスが多ければそれで良いわけではなく、どのようなユーザーに見られているかが大事だ。中堅規模以上の企業だと、既に社名は知っているユーザーが単に検索してアクセスしただけというケースも少なくない。そのため、キーワード検索からの流入を分析して、「自社を知らない会社」によるキーワード検索があるかどうかを把握しなければならない。
アクセスは集められているのに、問い合わせにつながらないこともある。原因は大きく分けて2つ考えられる。1つ目は、流入キーワードと自社の関係性が薄く、訪れたユーザーがすぐに離脱してしまう場合だ。検索需要が多いといっても、自社の事業とあまり関わりがないキーワードでSEO対策を行うと、そのような現象が起こる。2つ目はWebサイトのユーザビリティが悪く、アクセスから問い合わせまでの導線がうまく引けていないという問題だ。
こうなると、Webだけでなく自社の営業体制面も含めて原因を探る必要がある。訴求する内容と自社の強みが合致していないことや、レスポンススピードや価格決定力といった営業面での問題などが考えられる。
実は、そもそも新規企業にWebサイトを見てもらえていないという会社は非常に多い。つまり、多くの製造業は最初の壁で立ち止まってしまっているのだ。主な理由は2つある。
(1)現状の把握ができておらず、本当に新規ユーザーが見ているのかが分からない
(2)アクセスが少ないことは分かっていても、どう対策してよいか分からない
こうした最初の壁を乗り越えるための4ステップを以下では紹介する。
まずは、現状把握だ。自社のWebサイトへ、どのようなキーワードから流入しているかを理解する。
そのためには「Google Search Console」を利用すればよいが、より簡易的な手法として「ラッコキーワード」というWebツールを紹介したい。「検索流入キーワード」の項目を選び、WebサイトのURLを入力すると、流入キーワードの予測結果が出てくる。正確性は高いとはいえないが、「社名以外にどのようなキーワードで見られているか」「そのキーワードでの検索順位はどのくらいか」「関連性の高いキーワードは何か」といった事柄のおおよその傾向は把握できる。
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