キヤノンは半導体製造における前工程向けi線ステッパーの半導体露光装置「FPA-5550iX」を発売した。
キヤノンは2023年3月13日、半導体製造における前工程向けi線ステッパーの半導体露光装置「FPA-5550iX」を同日に発売したことを発表した。
2015年発売の従来機種「FPA-5510iX」で採用されている投影レンズを継承。50×50mmの広い画角と0.5μmの高解像力を両立しており、半導体製造に加えて高精度化が進むフルサイズのCMOSセンサーや、次世代XR(クロスリアリティー)用ディスプレイとして深い没入感を生む高解像力を持つ2インチほどのマイクロOLEDパネルの一括露光にも適用できる。
また、装置に多数搭載している投影レンズの製造に、KrF半導体露光装置にも使われていた先端製造技術を導入し、レンズ性能に関わる調整法が新しくなったことでより高品質で安定的に生産できるようになった。
回路パターンを重ね合わせる際の位置合わせに用いるアライメントスコープには従来機の直射光を測定する明視野検出機能に加えて、新たに散乱光や回折光を測定する暗視野検出機能を追加し、明視野検出機能では測定しづらいウエハーのアライメントマークにも対応する。エリアセンサーを採用しており、多画素で測定できることで低コントラストのアライメントマークでも測定できる。
CMOSセンサーは2枚の基板を貼り合わせて製造している。FPA-5550iXはオプションでシリコンを透過できる赤外線波長が選択可能となっており、裏面照射型センサーの製造に求められる、裏面のアライメントマークが測定できる。
ソリューションプラットフォーム「Lithography Plus(リソグラフィ プラス)」と連携ができ、露光装置の状態監視などによって稼働率向上への取り組みを加速できる。
「これからXRの世界がさらに広がり、大きな画角で高解像度で一括露光できる装置が広がると考えて新製品の開発に至った。従来機の良い部分を引き継いでいるだけでなく、ユーザーと寄り添う形で製造をサポートできるようになっている。ユーザーのプロセス、運用方法を理解した上でこの装置を育てていきたい」(キヤノン)
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