日本IBMは、中外製薬の人に着目したDXにおいて、デジタル技術に関わるシステムの構築を担うだけでなく、業務改革を含めた共創パートナーとして支援してきたという。
日本IBM コンサルティング事業本部 ヘルスケア&ライフサイエンス・サービス パートナーの中島理絵氏は「当社は生産業務DX向けに多彩なソリューションをそろえているだけでなく、働き方改革を推進する先進技術に加えて、IBM自身が業務改革で進める中で得た成功体験も提供できるという3つの強みがある」と述べる。
システム化の肝になったのは計画立案を自動化するスケジューラーの仕組みだろう。生産ライン×役割で定義する「配向性マスタ」と、各作業者への業務アサインを自動で行う割合を設定する「自動アサイン比率マスタ」によって、生産ライン内だけでなくライン横断で誰が、何を、どこで作業するのかを定義し、作業者の役割に応じた働き方も考慮に入れた自動アサインを可能にした。
各作業者のスマートフォンには、その日に行う作業が示された作業カードが配信され、作業後の実績入力などによりタイムリーな実績収集も行える。前後作業の遅れなどもアラートで知らされるので、これまで口頭で行っていた確認作業なども不要になる。資格管理システムとの連携により、作業者自身の資格保有状況を自主的に確認して、今後どのような教育プログラムを受講すべきかも分かりやすい。
日本IBMは、今回の中外製薬との共創の成果を製薬業界向けのソリューション「IBM Life Science Smart Factory Asset」として展開して行く考えだ。「既に幾つかの製薬メーカーから興味をいただいている。先発医薬品、ジェネリック医薬品ともに提案を進めて、製薬製造におけるデファクトソリューションを目指す」(中島氏)としている。
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