シミュレーションソフトの最新版を発表、性能向上と高速化で開発を支援:CAEニュース
Ansysは、シミュレーションソフトウェアの最新版「Ansys 2023 R1」を発表した。クラウド関連の新オプションとマルチGPUの最適利用により、これまで以上に複雑な製品のシミュレーションを高速で実行できる。
Ansysは2023年1月26日、シミュレーションソフトウェアの最新版「Ansys 2023 R1」を発表した。製品開発を支援する新機能を搭載し、幅広い業界において製品設計やエンジニアリングの課題を解決する。
「Ansys Fluent」をアップデート 出所:Ansys
Ansys 2023 R1は、クラウド関連の新オプションとマルチGPUの最適利用により、これまで以上に複雑な製品のシミュレーションを高速で実行できる。シミュレーション性能の向上とワークフローの合理化、新機能が複雑性や統合の課題を克服し、次世代製品の設計を加速する。
Ansys 2023 R1は、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)によりハードウェアの容量制限を克服。GPUの活用で強化したソルバーアルゴリズムを採用することで、大規模かつ忠実度の高いシミュレーションを効率的に実行できる。
構造解析向け製品群の新機能は、予測精度が高く効率的で、カスタマイズ可能なシミュレーション解析を可能にする。例えば「Ansys Mechanical」の新機能により、AI(人工知能)とML(機械学習)を用いて、シミュレーションの実行に必要な処理能力と時間を把握できる。
数値流体力学(CFD)ソフトウェア「Ansys Fluent」のマルチGPUソルバーの完全版は、幅広い用途においてマルチGPUの能力を引き出し、解析時間と総消費電力を大幅に削減する。
「Ansys Gateway powered by AWS」は、Webブラウザを介してAnsysシミュレーションなどのプロジェクト全体の管理を可能にする。新機能を利用することで設計チームのアクセスを合理化する他、社内環境へのアクセスを容易にする。
⇒ その他の「CAE」関連ニュースはこちら
- カシオが電子キーボードの鍵盤構造の変更にCAEを活用、その効果と展望
電子楽器開発で40年以上の歴史を誇るカシオ計算機は、グリッサンド奏法の操作性を維持するために採用してきた旧来の鍵盤構造を見直すべくCAEを活用。新たなヒンジ形状を導き出し、作りやすい鍵盤構造を実現することに成功した。その取り組み内容とCAE活用の展望について担当者に話を聞いた。
- フォークボールはなぜ落ちる? スパコンによる空力解析で謎を初めて解明
野球のピッチャーの決め球、フォークボールはなぜ落ちるのか? これまでボールの回転数が少ないことで自然落下による放物線に近い軌道を描くとされていたが、東京工業大学 学術国際情報センター 教授の青木尊之氏を代表とする研究チームがスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」による数値流体シミュレーションを実施し、その謎を初めて解明した。
- 「富岳」で新型コロナ飛沫の大量計算を実施、感染リスクはどこにある?
理化学研究所のスパコン「富岳」を用い、コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する飛沫の飛散シミュレーションが実施されている。理化学研究所が独自開発する流体シミュレーションソフトウェア「CUBE」による飛散シミュレーションの概要、注目すべき結果などについて、理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科 教授の坪倉誠氏に話を聞いた。
- ヤマ発が語る、バイク開発に不可欠な「ほこり入り解析」の新手法とその妥当性
ヤマハ発動機は、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」において、「モーターサイクルのほこり入りCFD解析について」と題し、CFDソリューション「PowerFLOW」をモーターサイクル(オートバイ)開発に適用した取り組みについて紹介した。
- シミュレーション主導設計の実現に向けた八千代工業の挑戦
八千代工業は、ダッソー・システムズ主催の「Dassault Systemes User Conference 2019」において、「CATIA、Abaqus、Isightを使った樹脂製燃料タンクの最適設計技術の構築と設計者展開」をテーマに講演を行った。
- 仮想実験室からデジタルツインへ、富岳が実現する自動車業界のCAEの形とは
ヴァイナスのユーザーイベント「VINAS Users Conference 2019」で、理化学研究所 計算科学研究センター・神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻 チームリーダー・教授/博士(工学)の坪倉誠氏が登壇し、「HPCシミュレーションとデータ科学の融合による新たな自動車空力について」をテーマに講演を行った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.