東北大学は、熱延伸プロセスを応用し、アクチュエーターやセンサー、流路、光路、カメラを一体化した、直径数百μm以下の多機能性カテーテルを開発した。これを用いて、微小流路の内部でも生体分子の濃度測定が可能であることを確認した。
東北大学は2023年1月26日、光通信ファイバーの製造技術である熱延伸プロセスを応用し、アクチュエーターやセンサー、流路、光路、カメラを一体化した、直径数百μm以下の多機能性カテーテルを開発したと発表した。同カテーテルを用いて、微小流路の内部でも、生体分子の濃度測定が可能であることを確認している。
まず、必要な機能を集積した多機能ファイバーと形状記憶合金(SMA)ワイヤーを組み合わせ、プリフォームと呼ばれる成型物を作製した。熱延伸プロセスを応用し、この成型物を金太郎あめのように加熱しながら引き伸ばすことで、直径数百μm以下で柔軟性のある多機能性カテーテルをつくることに成功。これにより、ポリマー製ファイバーにおいて、内部にセンシング機能やアクチュエーター機能など、さまざまな機能を集積することが可能になった。
また、センシング電極としてカーボン複合材料を導入し、熱延伸プロセスにより作製した多機能カテーテルを用いて、生体内で利用することを想定した実験を実施。血管の分岐構造をモデルとした流路をつくり、各流路に異なるアドレナリン濃度の緩衝液を同時に流したところ、アクチュエーター機能で挿入する分岐方向を調節しながらセンシングすることで、各流路のアドレナリン濃度の差異を検出できた。
治療や生体検査で使用するカテーテルは、屈曲変形や電気化学センサーなど複数の機能を付与する場合、各機能を有するカテーテル素子を段階的に積層する必要がある。全機能を付加すると線型が太くなり、生体の目標部位に到達できないため、必要最低限の機能しか選択できないという課題があった。
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