ブリヂストンのソフトロボティクス事業は、速度や精度を突き詰めてきた産業用ロボットに欠けていた、柔軟性や融通性を実現できることを特徴としている。音山氏は「ソフトロボティクスの3要素として、柔らかい体、柔らかいアクチュエータ、柔らかさの制御があるが、40年間ゴム人工筋肉の開発を続けてきたブリヂストンは、これらのコアコンピタンスを持っている」と説明する。
ソフトロボットハンドへの応用に向けて大きなきっかけとなったのが、ゴム人工筋肉に金属板を入れることで、これまでの収縮だけでなく湾曲も可能になったことだった。「他にもソフトロボットハンドはあるが力が弱い。kg単位でモノをつかめるのはブリヂストンだけだ。さらに、ゴムの柔軟性と追従性により、把持する場所の細かな制御も不要だ。“いい加減”でやれるのが最大の特徴といえるだろう」(音山氏)。
アセントロボティクスは、3Dカメラで物体認識を行う産業用ロボット向けAIソフトウェア「Ascent Pick」などを展開しているが、近年力を入れているのが「デジタルツイン」への対応だ。久夛良木氏は「工場などで扱う部品はCADデータがあるが、物流倉庫でピースピッキングするさまざまな製品のパッケージなどはCADデータが存在しないことが多い。それらを高精度にスキャンして3Dモデルを作成してデジタルツインに取り込みAI学習を行うことで、どんな製品でもしっかりと物体認識できるようになる。この技術とソフトロボットハンドの組み合わせで、何でも見れる、何でもつかめるを実現できる」と述べている。
本記事に登場するブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ CEO 兼 探索事業開発第1部門長の音山哲一氏が、製造業界最大級のバーチャル展示会「ITmedia Virtual EXPO 2023 春」(開催期間:2023年2月14日〜3月17日)において、「ソフトロボティクス元年“いい感じ”にモノを掴む第3のハンド」をテーマに講演を行います。登録無料ですのでぜひご参加ください。
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