アズビルは2030年度に売上高4000億円、営業利益600億円、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度という長期目標を掲げている。2021〜2024年度までの中期経営計画では売上高3000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度をゴールとしている。業績は目下、堅調に推移している。BA(ビルディングオートメーション)、AA(アドバンスオートメーション)、LA(ライフオートメーション)の各事業が成長し、2022年度は売上高2775億円、営業利益298億円、営業利益率10.7%、ROE10.8%を見込む。
「BAは国内中心だが、かなり需要は底堅い。オフィスの新築計画が順調に進められていて、2022年度は新築、既設で受注、売上ともに堅調だ。AAでは昨今、半導体含めて景気の循環局面になっていることは認識しているが、既存設備の有効活用やカーボンニュートラルに向けた需要は底堅いものがある。LAでは製薬製造装置向け事業をしっかりと進めている」(山本氏)
半導体に関するニーズは微細化に関わるものだ。「これまで計れていなかった領域も計り、制御したいというニーズが出ている。微小な流量を測る製品もリリースしているが、従来ならそれほど微小な量でコーティングする工程がなかった」(山本氏)。
海外についてはアジア、中国、北米/欧州でそれぞれ伸ばしている。2021年度の海外売上高は521億円で全体の売上に占める割合は20.3%だったが、2022年度は海外売上高605億円、全体の売上高に占める割合は21.8になる見通しだ。
「BAはコロナ禍のロックダウンによる影響は見られたが、各国で建築が動き出している。AAでも半導体関連の投資が上期は継続し、下期も勢いは鈍っているが堅調な状態が続いている。LAの製薬製造装置向けも着実に伸びている」(山本氏)
自律化システムにも取り組んでいる。今まで自動化することが困難とされてきた判断や意思決定までを自ら遂行するモノづくりシステムを提供し、飛躍的な生産性向上を目指すものだ。「自動車の自動運転に近い領域をプラントで実現する」(山本氏)。
生産計画立案、変更システム「Virtual Planner」ではAI(人工知能)が順序や割当ての最適解を導き出すことで、段取り時間やロスを最小化し、突発的な計画変更にも迅速に対応する。「AIとわれわれが今まで蓄積した現場でのやり方をシステム化し、人間に代わって生産計画を立てる仕組み」(山本氏)。
オンライン異常予兆検知システム「BiG EYES」では、AIが蓄積されているビッグデータから正常な動きを学習し、プロセス、設備、製品品質、排水や大気などの環境変数を常時オンラインでモニタリングすることにより、いつもと違う微細な変化を予兆の段階で検知する。
品質影響因子自動発見システム「因子発見ロボ(仮称)」では、品質の不具合が発生した時に、AIが原因を自動探索する。「不具合が起こった時に要因となる箇所、部材が必ずある。それらをデータとして蓄積していき、一定の範囲で勘所を見つけた上で注力していけば改善ができる」(山本氏)。
自律化システムについて山本氏は難しいのは異常時の対応だとし、「通常のオペレーションの対応は一定範囲のデータと知見があればできるが、異常発生時の対応まで踏み込めていない。そこまで制御できれば、かなりの範囲をカバーできる。人が本当にやらなければいけないこと以外は全てシステム化したい」と語る。
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