RISC-V Internationalの議長の立場からは、RISC-V製品の出荷がコア数の換算で数十億コアを超えていることを挙げながら、「RISC-Vは不可避(inevitable)であり、今後は最高のプロセッサ(the best processors)を展開するとともに、最高のエコシステム(the best ecosystem)もそろえるようになる」という期待を示した。
「RISC-Vは不可避」というのは、プロセッサのISAはオープンスタンダードのRISC-Vに集約されるという意味だ。ネットワークアーキテクチャではかつてさまざまな規格が存在したが、現在はほぼイーサネットに集約されている。プロセッサのISAも同様であり、これが冒頭に挙げた「業界は常に高品質のオープンスタンダードを求めており、プロセッサのISAもRISC-Vへの移行が進めば元に戻ることはないだろう」というコメントにつながっている。
「最高のプロセッサ」については、ISAとしてコードサイズを圧縮しシンプルに仕立てているため性能を出しやすいことと、複数社がRISC-Vベースの半導体製品を開発することによる競争で進化が生み出されることを挙げた。RISC-VのIPプロダクトを手掛けるベンダーだけでも、SiFiveやアンデスの他、アリババ(Alibaba)など多数存在している。
そして「最高のエコシステム」では、RISC-Vへの移行が急激に進む中でハードウェアもソフトウェアも対応が進みつつあるとした。なお、RISC-VのISAの標準プロファイルとしては2020年の「RVA20」が最初のメジャーリリースとなるが、2023年には2度目のメジャーリリースとなる「RVA23」が登場する予定だ。アサノヴィッチ氏は「x86やArmの場合ISAのフラグメンテーションが課題になっているが、RISC-Vはプロファイルで示される規定を守ることでフラグメンテーションを起こすことなく進化を続けていける」と説明する。
また、アサノヴィッチ氏とともに会見に登壇したSiFive Japan 代表取締役のサム・ローガン氏は「SiFiveをはじめRISC-Vへの引き合いは非常に強い。今の手応えでいくと、2024年には出荷コア数ベースでArmを超えるのではないか。中国、インド、北米での半導体関連の大学教育ではRISC-Vが利用されており、日本でもその動きが加速している。そういった観点でもRISC-Vへの移行の流れが止まらないだろう」と述べている。
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