ルネサス エレクトロニクスがオープンソースISA(命令セットアーキテクチャ)である「RISC-V」を採用した汎用MPU「RZ/Five」を発表。同社は、64ビットのRISC-V CPUを搭載する汎用MPUの開発は世界に先駆けた取り組みになるとしている。
ルネサス エレクトロニクスは2022年3月1日、オープンソースISA(命令セットアーキテクチャ)である「RISC-V」を採用した汎用MPU「RZ/Five」を発表した。同社は、64ビットのRISC-V CPUを搭載する汎用MPUの開発は世界に先駆けた取り組みになるとしており、汎用MPU製品群である「RZファミリ」に、Armコアに加えてRISC-Vコアのラインアップを新たに加えることで、ユーザーの選択肢を広げて製品開発の柔軟性を高めたい考え。RZ/Fiveは同日からサンプル出荷を開始し、2022年7月に量産を開始する予定だ。
RZ/Fiveは、64ビットのRISC-V CPUとしてAndes Technology(以下、アンデス)のプロセッサコア「AX45MP」をシングルコアで搭載しており、最大動作周波数は1GHz。周辺機能として、ギガビットイーサネット×2、USB2.0×2、CAN×2など各種インタフェースおよび、A-Dコンバーター×2を搭載しており、外付けDDRメモリの誤り検出・訂正(ECC:Error Checking and Correction)機能とセキュリティ機能もサポートしている。
Armコアを搭載する「RZ/Gシリーズ」と同様に、RZ/Five用にも、産業グレードLinuxであり10年以上の超長期メンテナンスをサポートするCIP(Civil Infrastructure Platform)をベースとした動作検証済みのVerified Linux Package(VLP)を提供する予定だ。これにより、RZ/Fiveのユーザーは高い信頼性と長期使用が求められる社会インフラや産業用途に適用できるとともに、将来のLinuxのメンテナンスコストも低減できるという。
IoT(モノのインターネット)の普及に伴い、各種のセンサーデータを収集してサーバやクラウドと接続するために、ソーラーインバータやホームセキュリティ向けのゲートウェイなど、IoTエッジデバイスのニーズが高まっている。今回発表したRZ/Fiveは、これらのニーズに応えるため、IoTエッジデバイス向けに必要な性能と周辺機能を最適化した製品だ。
ルネサスはこれまで、IoTエッジデバイスに用いられるローエンドの汎用MPU製品として、Armの「Cortex-A55」コアを搭載する「RZ/G2L」「RZ/G2LC」「RZ/G2UL」を展開してきた。RZ/Fiveは、これらと同じローエンドの汎用MPU製品に位置付けられる。
中でも、Cortex-M55を1コア、Cortex-M33を1コア搭載する「RZ/G2UL」は、RZ/Fiveの13mm角BGA品との間で周辺機能とパッケージに互換性があるため相互移行が容易であり、同じ基板設計を利用して置き換えることも可能だ。評価環境として、これまでRZ/Gシリーズ用に提供してきたSMARC 2.1に準拠するモジュール「RZ SMARC Evaluation Board Kit」をRZ/Five用にも提供する予定で、RZ/Five搭載CPUモジュールとRZ/G2UL搭載CPUモジュールを差し替えれば評価も容易になり、ユーザーの製品開発期間の短縮につなげられるとしている。
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