日立北米インダストリー事業のミッシングピース、買収の決め手は文化の親和性製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)

» 2022年12月23日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
前のページへ 1|2       

フレックスウェアのコアバリューと日立の創業精神はぴったり一致する

MONOist 今回、日立の買収に合意した理由について教えてください。年平均20%で成長しているとのことで、日立による買収を受け入れる必要はなかったようにも思うのですが。

ウィトロック氏 安定的に成長してるからと言って買収を受けない理由にはならない。さまざまな要因があるが、まずは自身を含めた6人のオーナー全員が賛成したことがある。うち2人はリタイアのタイミングというのもあり買収そのものにメリットがあった。また、フレックスウェアとして事業展開を進めていく上でプロジェクトが大型になっていることがリスクだった。そこで、より大きな組織である日立というパートナーが必要になると考えた。より大きなファミリーグループになることで、さらなる成長が可能になる。

日立インダストリアルホールディングスアメリカ 社長兼COOの小財啓賀氏 日立インダストリアルホールディングスアメリカ 社長兼COOの小財啓賀氏[クリックで拡大] 出所:日立

小財氏 日立としても“ミッシングピース”に当てはまるような企業の買収の検討に2年ほどの時間をかけた。リストアップした企業の中から、JRオートメーションの近隣の中西部にあり、組立製造業にしっかりコミットしていること、成長していることなどの条件でスクリーニングをかけて、各社と話をしていったところ、戦略適合性、事業の健全性、文化の親和性という3つのクライテリアをクリアしたのがフレックスウェアだった。フレックスウェアのリーダーシップメンバーとの打ち合わせを通して、既に現場レベルでJRオートメーションとも仕事をしていることを確認し、文化の親和性についても確信を得た。

MONOist 買収発表時のエンドースメントでは「これまで育ててきたフレックスウェアのユニークな文化は、日立創業の精神と完全に融合する」というコメントがありました。具体的にはどのようなところで文化の親和性を確信したのでしょうか。

ウィトロック氏 フレックスウェアには「be healthy」「say it like it is」「own it」「never stop learning」という4つのコアバリューがある。これらは、日立の創業精神である「和」「誠」「開拓者精神」とぴったり一致する。また、毎回打ち合わせを行うたびに、ヒロさん(注:小財氏のこと)や日立の人からは学ぶことが多い。好奇心旺盛に、互いのやっている改善について議論できている。

小財氏 買収前に想定していた以上の文化親和性があった。買収に際してこちらからアプローチして対話を繰り返してきたことで、正直に思うことを話すという意味の「say it like it is」ができていると感じている。私自身もこの言葉が好きだ。オープンに議論して、タウンホールミーティングでもスコット(ウィトロック氏)の考え方が浸透していることを確認し、フレックスウェアのカルチャーにひかれた。日立と合うカルチャーだ。その人たちと一緒にやっていける、共鳴していけるという手応えを感じている。

MONOist 今後、日立の北米事業とどのような協業を進めていきますか。特に、ロボットSIerであるJRオートメーションとの連携についてどのように考えていますか。

小財氏 連携は既に始まっている。JRオートメーションのサイトに、それぞれのオペレーションでキーになるリーダーが集まって話を始めている。組織体制で言えば、日立インダストリアルホールディングスアメリカの下にJRオートメーションとフレックスウェアの両社が入るが、JRオートメーションの経営陣がフレックスウェアのボードメンバーに加わっている。モノづくりの現場となる工場のショップフロアから経営のトップまでをつなげられるトータルシームレスソリューションを進めていくために、それぞれの事業に責任を持ちつつサイロに陥らないような体制を作る。JRオートメーションは北米市場全体をネーションワイドでカバーしているのに対して、フレックスウェアはインディアナ州を中心にローカルだがOTとITをつなげる役割がある。JRオートメーションのカスタマーベースで、フレックスウェアの顧客もさらに広げられるだろう。地域的な関係性も含めていろんなシナジーが出せそうだ。

ウィトロック氏 JRオートメーションとフレックスウェアの連携はうまくいくという確信がある。戦略的な優先順位を決めて大きなプロジェクトをやりたい。両社のためになる機会を選ぶ必要がある。シナジーのポイントとしては、共通の顧客が過去も現在もあることだ。JRオートメーションの拠点にこれまで手掛けたパーツを展示されていたが、あるカムシャフトはフレックスウェアの顧客の製品だった。このことからも、一緒にやっていける、シナジーを早急に出せると感じている。

MONOist フレックスウェアではIgnitionが主力商材ですが、日立は国内市場で組立製造業向けの「FactRiSM」などを展開しています。これらのMESを北米市場で展開することは可能でしょうか。

ウィトロック氏 それについては日立のアーキテクトとディスカッションしながら、北米市場で展開できるかどうかをジャッジしていく。

小財氏 日立にとってさまざまな機会が得られるだろう。日立のMESを展開するだけでなく、日本市場でIgnitionを展開する可能性もある。いろんな観点でシナジーを発揮できるのではないか。

オンライン取材に対応する日立インダストリアルホールディングスアメリカの小財啓賀氏(左)とフレックスウェアのスコット・ウィトロック氏(右) オンライン取材に対応する日立インダストリアルホールディングスアメリカの小財啓賀氏(左)とフレックスウェアのスコット・ウィトロック氏(右)[クリックで拡大]

⇒その他の「製造マネジメント インタビュー」の記事はこちら

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.