NEC 取締役員常務 兼 CTOの西原基夫氏は、同社は人や産業、都市のデジタルツインを作成し、DXの取り組みと連携して実世界のスマート化を進めることで社会課題を解決するという技術ビジョンを掲げていると説明する。この構想の中で生体認証は、実世界の精緻な「モデル化」の役割を担うものと捉えられている。
イベントではモデル化の技術事例として生体認証以外にも、セル生産方式の製造現場を想定した手指の動きに基づく作業内容のリアルタイム把握するシステムや、複数人による異なる作業内容をリアルタイムで認識するシステムなどが紹介された。
これらの技術に加えて、デジタルツインをベースとした構想の実現に必要となる最適化問題解決のための技術や、AI(人工知能)やロボットの対処、制御技術、セキュアかつ高速大容量の通信技術などを活用することで、2025年の中期経営計画や2030年までの目標などを定めた「NEC 2030VISON」の実現に貢献していくとしている。
この他、イベントではNECによる新規事業創出に向けた、社内、またはスタートアップやジョイントベンチャーとの連携の取り組みなども紹介した。ライフサイエンス分野ではCEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)の次世代ワクチン開発プロジェクトに日本企業と初めて採択された創薬へのAI技術応用の事例が、農業分野ではカゴメと設立した共同出資会社によるポルトガルでの農業デジタルツインの事例などが紹介された。この他、カーボンニュートラル分野では、防災を通じたCO2排出量削減のクレジット化を通じた市場創出などを目標として掲げている。
NECはシリコンバレーのリソースを活用した事業創出を目指す「NEC X」を通じて、スタートアップの新規事業立ち上げなども支援している。これらの新規事業創出に向けた取り組み全体を通じて、2025年度までに3000億円規模の事業価値創出を目指すとしている。
また、新たなイノベーション創出のために優秀な人材をグローバルに確保する取り組みを進める他、2025年にグローバルなオープンイノベーションのための新拠点を設立するとした。西原氏は「グローバルにオープンイノベーションを進めることで、技術イノベーションと事業イノベーションを掛け合わせ、当社のイノベーションのエコシステムを拡張していく」と説明した。
NECの技術はシリコンバレーで花開く、シーズから起業を狙う「NEC X」
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