「そもそも・すじ・べき論」の日本人 vs. 「使えれば問題ない」の中国人リモート時代の中国モノづくり、品質不良をどう回避する?(8)(3/4 ページ)

» 2022年11月14日 07時00分 公開
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中国人の友人に聞いた「日本人の悪いところ」

 筆者は以前、中国人の友人に「日本人の良いところと悪いところ」を質問したことがある。図4に、友人からの「WeChat」での返信をそのまま載せる。

友人から「WeChat」で送られてきた「日本人の良いところと悪いところ」 図4 友人から「WeChat」で送られてきた「日本人の良いところと悪いところ」[クリックで拡大]

 前半の1)〜5)は、日本人の良いところである。ここでは、後半の1)〜5)を見てほしい。「融通が効かない」(「効」→「利」が正しい)と「硬いイメージ」は、まさに「そもそも・すじ・べき論」にこだわり過ぎということだ。「夢中になる時にコストパフォーマンスを考えない」は、意固地になって不必要なことをするという意味である。先述の「壁の穴」と「バリ」の話はこれに当てはまる。「頑固〜」と「潜入観」(「潜」→「先」が正しい)も「そもそも・すじ・べき論」そのものである。結局、全部同じことをいっているのだ。中国人にとって、日本人の「そもそも・すじ・べき論」はとても受け入れ難く、理解できないことを意味している。

日本人の「そもそも・すじ・べき論」を通すには、理由の説明が必要

 日本人の「そもそも・すじ・べき論」が決して悪いわけではない。問題は、そこに理由の説明がないことだ。

 以前、ある部品を部品メーカーで作ってもらったときのことだ。部品のある箇所に小さな傷があり、それはNGレベルであった。そのことを担当者に告げると、「この部品は、(最終)製品の裏側になり、ユーザーにはほとんど見えない。だからこの傷は問題ないレベルだ」と言うのであった。しかし、社内基準からもNGレベルであったため、筆者は次のように丁寧に説明することにした。

筆者 あなたは日本製品が好きですか?

担当者 はい、好きです。

筆者 それは品質が良いからですか?

担当者 はい、そうです。

筆者 私は今、あなたに日本製品の部品を作ってもらっています。日本製品は、製品の裏側でも傷のない必要があります。だから、この傷はNGレベルです。

担当者 分かりました、傷のないようにします。

 このように説明したところ、担当者は納得して作業を続けてくれた。前述の「バリ」の話では、バリをなくす理由を筆者は説明できなかったのだ。だから若者は、金型修正の依頼を断ったのである。とてもリーズナブルだ。筆者がバリをなくす理由の説明ができないということは、バリをなくす必要がないということである。筆者は、理由なき「そもそもバリは小さくするのがすじ、金型修正するべき」にこだわっていただけであった。

 日本人が「そもそも・すじ・べき論」で中国人に何かを依頼するのであれば、その依頼の理由をきちんと説明できなければならない。「(中国人が)お願いしたことをやってくれない」という困りごとをよく聞くが、それはお願いしたい内容の理由を説明できていないからだ。

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